安宅の関にて
昨夜は、期せずして安宅の関にて素晴らしい夕餉をいただきました。
言うまでもなく、安宅の関と言えば、能「安宅」、あるいは歌舞伎「勧進帳」ですね。
もちろんそうした伝統芸能についてもいくらでも書けますが、今日は現代的な表現、すなわちテレビドラマの名シーンの紹介です。
まずなんと言っても、昨年秋に惜しくも亡くなられた二代目中村吉右衛門さんが弁慶を演じた「武蔵坊弁慶」。勧進帳のシーンはもちろん、金剛杖での仕打ちのシーンは、本当に涙なしには観ることができませんね。
富樫を演ずる児玉清さんの抑えた演技も見ものです。テレビドラマ史に残る名シーンの連続です。
あえてまた違った雰囲気の弁慶と義経を観てみましょう。美しすぎるがために悲しさが倍増する滝沢秀明の義経。これもまたある意味美しすぎる松平健の弁慶。美が切なさを生む好例でしょう。
個人的には、石橋蓮司の富樫が好きですね。富樫のキャラクターは時代とともに変遷していますが、この富樫にもまた奥深い「情」を感じるのは私だけではないでしょう。
歴史的にはフィクションでありますが、物語にこそ真理、真実が宿ることを私たちは知っています。昨日も話題になった仲小路彰は「日本文化の象徴的創造」の中で、この「安宅の関」の物語を取り上げています。抜粋します。前後はご想像ください。
われわれはしばしば、愛情が最も深くつよいときには、それがはげしい反対表現をとることも知っていはいないであろうか?——弁慶がその主義経を金剛杖で打ちすえる"安宅の関"の心痛なエピソードを知っている。そしてこのような例は無数にあるであろう。
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