安宅の関にて
昨夜は、期せずして安宅の関にて素晴らしい夕餉をいただきました。
言うまでもなく、安宅の関と言えば、能「安宅」、あるいは歌舞伎「勧進帳」ですね。
もちろんそうした伝統芸能についてもいくらでも書けますが、今日は現代的な表現、すなわちテレビドラマの名シーンの紹介です。
まずなんと言っても、昨年秋に惜しくも亡くなられた二代目中村吉右衛門さんが弁慶を演じた「武蔵坊弁慶」。勧進帳のシーンはもちろん、金剛杖での仕打ちのシーンは、本当に涙なしには観ることができませんね。
富樫を演ずる児玉清さんの抑えた演技も見ものです。テレビドラマ史に残る名シーンの連続です。
あえてまた違った雰囲気の弁慶と義経を観てみましょう。美しすぎるがために悲しさが倍増する滝沢秀明の義経。これもまたある意味美しすぎる松平健の弁慶。美が切なさを生む好例でしょう。
個人的には、石橋蓮司の富樫が好きですね。富樫のキャラクターは時代とともに変遷していますが、この富樫にもまた奥深い「情」を感じるのは私だけではないでしょう。
歴史的にはフィクションでありますが、物語にこそ真理、真実が宿ることを私たちは知っています。昨日も話題になった仲小路彰は「日本文化の象徴的創造」の中で、この「安宅の関」の物語を取り上げています。抜粋します。前後はご想像ください。
われわれはしばしば、愛情が最も深くつよいときには、それがはげしい反対表現をとることも知っていはいないであろうか?——弁慶がその主義経を金剛杖で打ちすえる"安宅の関"の心痛なエピソードを知っている。そしてこのような例は無数にあるであろう。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『大鹿村騒動記』 阪本順治 監督作品(2025.05.17)
- 『砂の小舟』 丹波哲郎 監督作品(2025.05.08)
- 追悼 大宮エリーさん(2025.04.28)
- 『新幹線大爆破』 樋口真嗣 監督作品(2025.04.23)
- 『アルプススタンドのはしの方』 城定秀夫 監督作品(2025.04.01)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 光明寺さん(小山市)で思う(2025.05.23)
- 榮山寺のカオスとコスモス(2025.05.22)
- 吉野〜南朝の幻影(2025.05.21)
- 『超国宝』展 (奈良国立博物館)(2025.05.20)
- 私的「大鹿村騒動記」(2025.05.18)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 乙姫さま降臨(2025.05.26)
- 豊橋〜名古屋〜大阪難波 特急の旅(2025.05.25)
- 岡崎市円山の神明宮と古墳群(2025.05.24)
- 光明寺さん(小山市)で思う(2025.05.23)
- 榮山寺のカオスとコスモス(2025.05.22)
「文学・言語」カテゴリの記事
- 岡崎市円山の神明宮と古墳群(2025.05.24)
- 古文訳J-POP(有隣堂しか知らない世界)(2025.05.12)
- 「ドアを閉めます」(名鉄)(2025.05.10)
- 能『杜若』(2025.05.01)
- 追悼 大宮エリーさん(2025.04.28)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 乙姫さま降臨(2025.05.26)
- 岡崎市円山の神明宮と古墳群(2025.05.24)
- 光明寺さん(小山市)で思う(2025.05.23)
- 榮山寺のカオスとコスモス(2025.05.22)
- 吉野〜南朝の幻影(2025.05.21)

コメント