『ドライブ・マイ・カー』 濱口竜介 脚本・監督作品
アカデミー賞作品賞の可能性も噂されるこの映画。やっと観ることができました。
まず端的に結論から。素晴らしい。
久々に「日本映画」、いや「日本文化」の良さが詰まった作品を観た気がしました。淡々とした3時間が、全く退屈ではなく、心地よい集中になるという奇跡。
全体と通して「能」の世界観に近いなと思っていたら、一箇所「能」という言葉がでてきましたね。
村上春樹の原作は、正直まったく記憶に残らないほど(私にとっては)凡庸な短編でしたが、それをベースによくぞここまで物語を豊かに作り上げたなという、そういう感動もありました。カンヌの脚本賞獲得も納得です。
もちろん、これを小説で表現するのは難しいでしょう。映画だからこそです。
昨日おススメの「解夏」でも、主人公が目の病を患うところからストーリーが始まりましたが、この「ドライブ・マイ・カー」でも同様です。なるほど、「視覚」が欠損することによって、目に見えない別の世界が開くということでしょうか。それを視覚芸術である映画でやるところが面白い。
そう、この作品、映画なのですが、視覚以外の感性が敏感になっていることを意識させられました。それが独特の集中力を生む要因なのでしょう。それこそ「能」の世界に近い。視覚情報はあくまで補助的なもの。
好き嫌いは分かれるかもしれませんし、全く面白くなかったという評も散見されますが、まあ、少なくとも「パラサイト 半地下の家族」よりは百倍素晴らしいと思いましたよ。もしかすると作品賞の獲得もありえるかも。
能をやっている娘と、もう一度観にいきたいと思います。娘にとってはよき教材になるでしょう。皆さんも映画館でぜひ。
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