『思いがけず利他』 中島岳志 (ミシマ社)
昨日の斎藤さんと國分さんの議論ではありませんが、SDGsの持つ「胡散臭さ」は、「利他」の難しさの現象の一つですね。
富士山での合宿の大きなテーマの一つが「利他」です。
本当は「利他」という言葉は使いたくないのですが。
この地球上で「利他以前のモノ」を表現するのは難しい。
宇宙倫理的に言えば、「利他」という言葉すらなく、すなわち「利己」が感覚としてないわけですが、それを地球上の言葉で説明するのは難しい。
ただ言えるのは(地球で言うところの)「利他」は、もともと全存在の根本的な性質であって、それが全関係性の中で(保存法則的に)均衡が取れていればいいだけの話です。
その均衡を崩すのが「自己」「自我」ということになります。それがワタクシの「モノ・コト論」での「コト」です。
中島さんがこの本の中で繰り返す「偶然性」「流れ」「未来からやってくるもの」が「モノ」ということなり、すなわち「偶然性の驚嘆」というのは「もののあはれ」になります。
そして、「思わず動く」「思いがけず」という無意識的、無目的的、無我的、モノ的な行動こそが、最近私が語る「business(busy)」すなわち「慈悲」の本質です。
ですから、この本で終始重要な例として挙げられている、落語「文七元結」の長兵衛の行動こそ慈悲であり、それは「利他」以前の、慈悲の均衡を保つための宇宙意志的現象だったというわけです。
と、こんな宇宙倫理というか宇宙哲学的視点でこの本を読んだのは、まあ私くらいでしょうね(笑)。
いつも言うように、宇宙からの視点なので、どうしても「上から目線」になってしまいます。ゴメンナサイ。
「利他」に満足せず、「利他」に悩む地点こそ、「利他」「利己」を超えたモノ(宇宙の哲学・法則?)に至るスタートだと、この本を読んで思いました。
いつか中島さんと、こんなお話してみたいですね。
Amazon 思いがけず利他
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