HARUOMI HOSONO『SAYONARA AMERICA』佐渡岳利監督作品
細野さんご本人経由で招待券をいただきまして、この冬2回劇場で鑑賞いたしました。
ちょうど今日も仲小路彰文献「日本文化の象徴的創造」の翻刻にいそしみまして、なるほど細野さんは当時こういうところに影響を受けたのかと、ひそかに合点しておりました。
世界中の文化を広く受容し、自家薬籠中の物として昇華し、本国が失ってしまったモノさえも純粋象徴の形で息づかせてしまう。おそるべし日本文化。
2019年のニューヨーク、ロサンゼルスツアーのライヴ映像を中心に、細野ミュージックのアメリカ「凱旋」と、コロナによる期せざる「離別」が描かれたこの作品。
ステージで「アメリカが日本に資本主義をもたらした」と細野さんが語り、それにアメリカ人(とおぼしき)観客が「Sorry!」と答え、会場が笑いに包まれるというシーンがなんとも象徴的でしたね。
細野さんのみならず、私たち日本人にとって「アメリカ」とはなんだったのか、そしてその「光」に照明された「日本」とはなんであり続けるのか、思わず考えて、いや音を通じて感じさせられました。
私が言うまでもありませんが、「はっぴいえんど」というバンド名自体が、英語を日本語が包摂した形になっており、それがそのままあの伝説的バンドの存在証明になっていたわけですよね。
そのバンドのラスト・アルバム『HAPPY END』。そのまた最終曲「さよならアメリカ さよならニッポン」が、このたび約半世紀を経てセルフ・カヴァーされ、今度は「Sayonara America, Sayonara Nippon」と英語表記になりました。
そのあたりの細野さんのセンスというか境地というか、また昭和から令和の日本の変化の実情というか、まあいろいろなモノゴトが、それこそ「象徴的創造」として私たちの前に開陳されまして、たとえば私はすっかりその「気」に当てられてしまったわけです。
なるほど仲小路があの名文の中で言いたかったことはこれか!理屈ではなく、また言語ではなく、細野さんの音と佇まいによって教えてもらいました。まあ、それはそうですよね、細野さん「最も影響を受けたのはナカコージ先生」と言うのですから。
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