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2022.01.10

『陰謀論に対する処方箋』(斎藤幸平・國分功一郎)

 

 日は移動が多く、運転中にこの音声を聞きました。

 斎藤幸平さんのベストセラー『人新世の「資本論」』は、問題提起としては大変共感する部分が多かった。SDGsの胡散臭さは、もうほとんど先進国のお家芸みたいですよね(笑)。

 ただ、それに対する彼の処方箋たる「脱成長コミュニズム」に関しては、未来の記憶的には違和感しかありませんでした。これもまたある種の既視感があるせいでしょうか。

 まあ、それは置いておいて、この哲学者同士の対談は面白かった。そう、斎藤さんはやはり哲学の人なんですよね。だから経済を語る時も、やや観念的になり、理想的になりがちです。

 コモンという概念や暇という方法論に関しては、それこそ宇宙未来的にはすんなり入ってくるところ。日本人を含む地球人に足りないのは確かにそれらです。

 大人こそネット・リテラシーをという話、ごもっともですね。私の周囲にも安っぽい「陰謀論」に振り回されている「大人」がたくさんいて辟易します。

 まさに陰謀論は「複雑系の単純化」という怠けでしかありません。本人たちは自分たちこそ勉強していると思い込んでいますが(苦笑)。

 逆に複雑系を複雑系と直観し、思考することをやめている人の方がまだ健全だったりします。

 哲学者とは、そういう「一般人」のために代わりに苦悩して、そしてやっぱり分からないということを示す仕事をする人のことなのでした。

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