ジョン・レノンの『ラヴ』に見る「愛という煩悩」
今年も歴史的特異日がやってまいりました。
今日はジョン・レノンの名曲を聴いて(読んで)みましょう。ジョンの命日ということもありますが、お釈迦様がお悟りを開いた日という意味もあります。
今、地元の文学講座で「竹取物語」の講師を務めさせていただいております。一昨日、「竹取の翁を狂わせたかぐや姫の罪」という話をした時に、この曲の歌詞も話題に上がりました。
「竹取物語」はまさに「竹取の翁の物語」であり、主人公は翁です。無欲の善人だった翁が、かぐや姫という完璧な「悪女」の登場によって、欲にまみれた人間になっていってしまうというお話(というワタクシの解釈)。
そうやって読みますと、竹取物語が仏教説話であることがよくわかるのです。
特に、月から迎えが来る段になって、翁がかぐや姫を失いたくないために数々の嘘をつくシーンは印象的です。そして、かぐや姫を「我が子」と言ってしまうところは、まさに「子煩悩」が発動した瞬間です。
子どもに対する愛というのは、今では良いことというイメージがありますが、お釈迦様が自らの息子を「ラーフラ(煩悩)」と名づけたとおり、子どもに対する執着は人間の最も愚かな煩悩の一つなのです(もう一つは財産に対する執着)。
で、結局、「愛」なんて利己的なものであって、子どもに対する愛も、子どもが自分の思い通りになってほしい、子どもに自分のことを愛してほしいという、ちっとも子どものためにならない煩悩なのです。
そうした理不尽に対する無意識の反抗が、それこそ「反抗期」であるわけですね。
というわけで、そうした「愛」の本質を「愛とは愛されたいと望むこと」と明確に示したのが、この曲です。
言うまでもなく、ジョンはヨーコの影響から、仏教や神道に対する興味を持ちました。かなり深く学んでいます。ちなみに京都の亀岡にもお忍びで潜伏しており、出口王仁三郎の大本にも興味を持っていたことがわかります。
ですから、この曲は、世界一般で捉えられているような美しいラヴ・ソングではなく、ある意味厳しい愛の「現実(real)」を表現した曲なのです。日本人には、ぜひそういう理解をしていただきたい。
愛の名の下に人々は互いに求め合い、奪い合っている…。
そうしますと、一般的に wanting を動名詞と解釈しSVC構文と思っている「Love is wanting to be loved」は、実は現在進行形で「愛はいつも愛されたいと望んでいる」という皮肉なのかもしれませんね。
と言うと、want は状態動詞だから現在進行形にはならないと反撃されるのですが、I'm love'n it!という某CMで love が進行形になってるからいいじゃないですか(笑)。なにしろ、love = want なのですから。
ちなみに、日本語の「恋」も言うまでもなく「乞う(こふ)」という「要求する・ほしがる」という意味の動詞の連用形が名詞化したものです。残念でした(笑)。
いや、それにしてもオノ・ヨーコすごいわ。今日のこの日に改めて痛感しました。
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