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2021.11.12

ファッシュ 『様々な楽器のための協奏曲集』

 

 ハン・フリードリヒ・ファッシュは、後期バロックを代表するドイツの作曲家です。

 クーナウの弟子として当時の現場では演奏家として作曲家として大活躍しており、かのバッハもファッシュの作品を写譜したりして、その作曲技法を学んでいたといいます。

 しかし、生前に作品集が出版されることもなく、久しく忘れされた作曲家の一人となってしまいました。ようやく再評価が始まったのは、今世紀に入ってからです。

 その作風は典型的なバロック作品から全古典派風のものまで幅広く、全体として明るくメロディアスであり、時代のニーズに見事に応えたものになっています。

 ここで演奏されている協奏曲たちは、まずそのソロ楽器の編成が実に多様で華やか。これは聴いている人だけでなく、演奏する人も楽しいだろうなあ。

 この演奏の中心になっているのは、ヴァイオリニストの寺神戸亮さん。私もお世話になった方ですが、ヨーロッパの忘れ去られていた音楽を復活させた功績は彼の功績は実に大きい。

 私がこの音源で特に楽しめたのが、18:40から始まる「2本のオーボエ、2本のヴィオラ、2本のファゴットと通奏低音のための協奏曲 ト長調 」。中低音域の楽器が醸す芳醇な響きが魅力ですね。

 バロック期の作品には、まだまだ知られていないものがたくさんあります。それをこうして無料で聴ける時代に生まれた私たちは、もしかすると当時の貴族たちよりもぜいたくなのかもしれませんね。

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