仏教における八音(はっとん)
昨日、高度に発達した(構造化、抽象化された)西洋音楽に対して批判的なことを書いてしまいました。
そして、その先にある「音」の可能性について触れましたが、東洋の智慧の代表者ブッダは「音」についてどのように語っているのでしょう。
仏教では「観音」や「妙音」という言葉に代表されるとおり、「音」を重視しています。そして、それは決して「音楽」と同義ではありません。
今日はそんな仏教的な「音」論の中で、最もよく知られている「八音(はっとん)」を紹介します。
「八音」についても、様々な訳、解釈があるのですが、今日は特別に仲小路彰の書き残した文章から引用してみましょう。
聖徳太子伝である「夢殿の幻」から。
八つのすぐれた音とは、まさに仏が天才的な音楽家の如き、多音階的な多声調的な多様な微妙な音声をあらわしたのである。
それは如来の八響の妙音を云う。
1、最好音(きわめて美しい妙なる音)
2、柔軟音(やさしくやわらかな声)
3、調和音(相和する調べの音)
4、尊恵音(知恵の響きをなす声)
5、不女音(男性的な雄々しい声)
6、不誤音(正確な調べをなす声)
7、深遠音(低く奥深い音)
8、不竭音(無限なる余韻の声)
このように如来の金玉の声は、肉声ではなく、金口(きんく)の声と云われるところである。
そこには森羅万象、宇宙一切のあらゆる音声が、最高の微妙な交響的諧調をもって表現されるのである。
どうでしょうか。イメージが湧きにくいのですが、少なくとも西洋音楽的な音(声)世界とは違うようですよね。
これからしばらくは、西洋音楽を今まで通り楽しみつつ、この「八音」についても探求してみたいと思っています。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- グレン・グールドの『バッハ フーガの技法』(2023.12.06)
- バッハ『フーガの技法』を見る(2023.12.04)
- 福岡のパワーの源は…(2023.12.01)
- 濱田あや 『デュフリのガヴォットとシャコンヌ』(2023.11.30)
- NHK「音楽の広場」タモリとスポーツテーマ曲(2023.11.25)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- グレン・グールドの『バッハ フーガの技法』(2023.12.06)
- 『首』 北野武 脚本・監督・編集作品(2023.12.05)
- バッハ『フーガの技法』を見る(2023.12.04)
- 香椎宮にて(2023.12.03)
- 福岡のパワーの源は…(2023.12.01)
コメント