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2021.11.06

『家族ゲーム』 松田優作主演・森田芳光監督作品

Th_640 田優作の三十三回忌。この映画を久しぶりに鑑賞。

 松田優作のすごさはもちろん、改めて森田芳光作品の魅力にすっかりやられてしまいました。

 ちょうど昨日、この映画の4K版が東京国際映画祭で上映され、宮川一朗太さんはじめ出演者の皆さんがトークしたようですね。

 この映画が公開された1983年、私はちょうど大学に入学しました。全く同年代の映画ということで、当時劇場で観た時には逆にあまりピンと来なかったのですが、あれから40年近く経って、昭和のあの時代を歴史として見ることになり、改めてこの作品の「時代性」を痛感しましたね。

 特に、学校、先生、生徒、受験…戦後教育の象徴のようなシーンの連続には、懐かしさに加え、ある種の不快感さえもおぼえるのでした。

 この最後の晩餐を思わせる食卓シーンが特に有名ですけれど、その他のシーンでも、のちに語られるであろうその時代の時代性を象徴的に切り取ることに関して、森田監督は天才的な才能を発揮していますね。

 繰り返しになりますが、その時代の中にどっぷり浸かっていた私には、ちょっとした日常の延長の(面白い)ドラマ程度にしか感じられなかったのです。

 松田優作さんはもちろん、その他の役者さんにも、そういう力があったのでしょうね。日常的に、単に自然に演技しているだけでは、こういう普遍的な時代性は描けないでしょうから。

 松田優作の1983年。龍平くんが生まれ、美由紀さんと結婚した年です。不思議なもので、最近ウチのカミさんが美由紀さんと仲良くしていまして、私もそれに便乗して、1983年の松田優作の話などを直接聞く機会がありました。

 私たちファンが知っている優作の魅力なんてものはほんの一部であり、常に一緒にいた人でさえ語りきれない奥深さ、幅広さがあるということだけはしっかり理解できました。

 そんな話も聞いた上で、この映画を鑑賞できる日が来るなんて、それこそ38年前の私は想像すらしませんでした。人生は面白いですね。 

 そういえば、先日鑑賞した「信虎」の金子修介監督は、この映画で助監督を務めるとともに、クボタ書店の店員として出演しております。

Prime Video 家族ゲーム

 

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