Clarence Gatemouth Brown 『Leftover Blues』
昨日はUKのプログレッシヴなブルースを紹介しました。ある意味どこがブルースなんだという曲でしたね。
今日はコテコテのブルース。そして、エレキ・ヴァイオリン、いやエレキ・ヴィオラも登場しますよ。
クラレンス・“ゲイトマウス”・ブラウンはブルースの帝王。彼自身はそう言われるのを嫌いましたが、間違いなく帝王ですよね。
たしかにカントリーの影響も多大で、その証拠に彼はフィドラーでもあります。完全にカントリー・フィドルのテクを持っています。
この動画でも分かるとおり、彼のギターやヴィオラの弾き方は、クラシック的なスタンダードからかなりかけ離れています。もちろん、それで良いし、それだからこそ、この味わいが出るわけですね。
楽器の世界でも、スポーツの世界でも、その他抽象的な学習においても、とにかく「教育」が「個性」や「自由」を奪ってしまい、いかに「味わい」がなくなってしまっているか。
私なんて、かなり自己流の弾き方をしますので、どちらかというと「味わい」の世界に近いかもしれません。プロの方々が修正しようとしても、なかなか変りません。もう諦めています。その方がいいのかなと。
楽器から学ぶというか、こちらが楽器をコントロールしようとするのではなく、楽器にこちらがコントロールされるというのが正しいような気がしているのでした。
それにしても、このゲイトマウスのヴィオラ演奏は素晴らしいですね。私とかぶるのは、ヴィオラだからこそ、人間の声、喋りを模しているところです。私の宴会芸の一つです。
日本語は高低アクセントなので、実はこれがやりやすい。おそらくかつても胡弓などで遊んでいたことでしょう。そういうためにも、フレットはない方がいいのです。人間の喉にはフレットも鍵盤もありませんからね(笑)。
フィドル系の人たち、みんな弓を短く持ちます。それは現代の弓が長く重すぎる(重心が遠すぎる)からです。バロック・ヴァイオリンでも短く持ちますが、本来弓を弦に押しつける必要はなかったのです。
近代になって、まさに楽器を征服するような弾き方になり、またそれに耐えられるようにスチール弦が発達してしまいました。
ちなみにシルク絃だと、ガット以上に弓を浮かさないと音が出ませんよ。それが面白い。
というわけで、私にとっての理想のボウイングは、このゲイトマウスとグラッペリのそれなのです。
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