菊理媛(ククリヒメ)の秘密…その2
昨日の続きです。ククリヒメの秘密を探ります。
さて、くだんの仲直りのシーン、日本書紀の本文はこんな感じです。
及其与妹相闘於泉平坂也、伊奘諾尊曰、始為族悲、及思哀者、是吾之怯矣。
時泉守道者白云、有言矣。曰、吾与汝已生国矣。奈何更求生乎。吾則当留此国、不可共去。
是時、菊理媛神亦有白事。伊奘諾尊聞而善之。乃散去矣。
なんちゃって漢文は難しいので、ちゃんと読む必要はありません。大事なのは最後の行の「菊理媛」と、一行前の「泉守道者(よもつちもりびと)」というゲストの存在ですね。
泉守道者はイザナミの気持ちを伝言する役で、その名前からしても「現地スタッフ」という感じがします。
菊理媛は「有白事」とあるように、イザナミの気持ちを伝え聞いたイザナギに対して「言葉を申し上げた」神ということで登場しています。その「事(言葉)」に対してイザナギは「善」として、素直にその場を去っていきます。
ですから、菊理媛の「くくり」というのは、バラバラだった二柱を取りまとめたというより、イザナギを説得したという感じですよね。
違う言い方をしますと、イザナギの「腹をくくらせた」、イザナギ自身の和魂なのかもしれない。つまり、それまでケンカする気満々、つまり荒魂が発動していたところで、それを収める和魂が発動したと。自問自答したわけです。
実はそこが非常に重要でして、菊理媛を「イザナギの和魂(にぎみたま)」と解釈したのは、私が初めてです(たぶん)。
というわけで、これからの時代、「ククリヒメ」の機能が非常に重要になってきます。まずは自己の荒魂を抑えねばならない。それから他者との和合です。
白山神社に幽閉されている、本来の「ククリヒメ」の復権を祈ります。
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