新垣隆(佐村河内守) 『交響曲 HIROSHIMA』
今日は広島原爆忌。
毎年この日にはいろいろ書いてきましたが、今年はあえてこの曲を紹介いたしましょう。
先月、佐村河内守のドキュメント「FAKE」について書きました。
この交響曲こそが、彼の「FAKE」を暴くきっかけとなったわけですが、あの映画のラスト12分の爆笑もまた、この曲からの反動とも言えます。
つまり、この曲のレベルとあの曲のレベルがあまりに違うということです。
単純にこの曲はいい曲ですよ。作曲者が誰であれ、またどんな嘘がその裏にあろうとも、音楽自体は純粋に広島の悲劇と再生を表現してくれています。
ある種のわかりやすさは、新垣さんらしくもあり、難解になりすぎた現代音楽に対するアンチテーゼとなっています。一方で、目新しい作曲技法はなく、私の複数の友人の作曲家たちは、口を揃えて「ある意味古典的な作品で、しっかり勉強した学生ならこのくらいの曲は書ける」と言っていました。
また、この曲を演奏したことのある友人のチェリストは、「演奏していて気持ちがいい曲」と評していました。音楽にとって、これも実はとても重要なことです。各楽器がそれぞれ聞かせどころを持っていて、そういう意味でオケ全体のやる気が出る曲なのだとか。
いや、ホントいい曲ですよ。言葉や映像よりもずっと雄弁です。
それにしても、最後の佐村河内守登場シーンは、なんか感動しちゃいましたよ(笑)。たぶん佐村河内さんも(ちゃんと聞こえているので)、正直感動しちゃったんだと思います。
もう、いろいろなFAKEも含めて一つの作品として捉えた方がいいのではないでしょうか。宗教を信じるかのように。
いずれにせよ、この曲を聴きながら犠牲者の皆様の御霊の安からんことを祈ることは間違いではないと思います。
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