「一億総特攻」の碑
終戦の日。
今日は地元の戦争にまつわる話題です。
終戦直前の7月30日と8月13日に富士吉田に空襲があり、12名の尊い命が奪われました。
とは言え、仲小路彰らが疎開していたことからもわかるとおり、富士北麓地方は比較的戦禍を逃れた地域でした。
すなわち軍需工場などがあまりなかったのです。
しかし、それを逆手に取るような形で、軍は山深い当地に兵器や軍事物資を秘匿することを計画していました。
その一つが「イ」号演習というものです。富士北麓には立川陸軍航空廠から工場の一部や部品、工員の疎開がありました。
明見の向原には、兵器や部品の隠匿場所として横穴が多数掘られました。その作業には、派遣された軍人のほか、地元民も参加したようです。
戦況は悪化の一途を辿っていた頃ですが、この山村はなんとなくのんびりした雰囲気もあったのでしょうか、兵隊さんと地元の人たちはある意味仲良く作業に励み、そんな中から友情(ひょっとしたら恋愛も?)生まれていたようです。
作業が終わり、兵隊さんたちが東京の方に戻るにあたり、地元民が記念碑を建てようと進言しました。結果として建立されたのが、この「一億総特攻」の石碑です。
なんとも勇ましい文言ですが、当時の庶民が兵隊さんに感謝の意を表し、またお国のために自らを鼓舞するには、この言葉がベストだったのでしょう。
今でもこの石碑は静かに富士山を仰いでいます。
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