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2021.07.27

スメタナ 『ピアノ・トリオ ト短調』

 

 日は某所にて、久しぶりに生の音楽を鑑賞いたしました。

 ヴァイオリン、チェロ、ピアノのトリオ。素晴らしい演奏だったのですが、特に後半のスメタナのピアノ・トリオには感動しました。途中で泣いちゃいました。

 この曲を聴くのは初めて。というか、スメタナの室内楽なんか、カルテットの2曲くらいしか聴いたことがありません。

 こんなにいい曲があるなんて…知らないということは不幸ですね。

 この曲は、2歳で亡くなった次女への追悼の気持ちをこめて作ったそうです。冒頭から悲しみの半音下降のパッセージが提示され、その後も複雑な心の変化を表すような、ある意味豊かな変化に富んだ展開をします。

 民族派はまとめることには抵抗はありますが、やはりスラヴ的、すなわちアジア的な雰囲気、そして歌謡的なキャッチーなメロディーにも富んでいますね。和声的にも純粋な西欧音楽とは一線を画す部分が見え隠れします。

 これはたしかに隠れた名曲ですね。スメタナ、もっと聴いてみよう。

 ところで、スメタナと言えば、教科書に載っていて誰もが知っている「モルダウ」ですよね。あの、それこそキャッチーなテーマには元ネタがあります。

 「穴から子猫が」というかわいい俗謡です。いわゆる「きらきら星」系統に入る曲ですね(「こぎつねコンコン」なども)。元は長調。そして単純なリズム。それをあのように悲哀に満ちた川の流れに編曲したスメタナ。なかなかやるなという感じですよね。

 

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