『エロス+虐殺』 吉田喜重監督作品
静岡市の実家に来ております。
私の実家から歩いていける町内二ヶ所の公営墓地に、二・二六事件の主役の一人安藤輝三大尉のお墓と、そして甘粕事件で惨殺されたアナキスト大杉栄のお墓があります。
これってすごいことです。すごすぎることです。しかし、市民はもちろん、多くの歴史マニアもご存知ないのではないでしょうか。
大きなお寺であるとか、東京の多磨霊園、青山墓地、谷中霊園とかなら、まあ有名人のお墓が複数あって当然ですが、田舎の名もない公営墓地ですよ。
安藤、大杉ともに、もともと静岡市には全く縁のない人間です。すなわち訳あって隠れるように、隠されるように葬られた。それが運命的に私の実家の近所だったということ…これって、いったいどういう意味があるのでしょう。
安藤輝三については、その意味がほとんど分かりました。いずれ映画化するのでお楽しみに(笑)。
で、次は大杉栄です。ちなみに近所の墓所にはには大杉栄だけでなく、愛人の伊藤野枝、そして事件に巻き込まれた甥っ子の橘宗一ちゃんの遺骨も収められています。
大杉栄と伊藤野枝は、もちろんアナキストという政治的な意味で、かなり過激な人生を送っていたわけですが、そのプライベートもまた「無政府状態」でした。
もちろん、そういう時代の空気もあったことでしょう。大正デモクラシーという「現代」ですね。まあ、それにしても、かなり彼らは「未来的」でありました。
ですから、こういう映画をも作らせてしまった。まさに吉田喜重さんや岡田茉莉子さんが、その過去のコトがまとったモノ(オーラ)をしっかり読み取ってしまったのでしょう。「土偶を読む」もそうだったように、たしかに「読む」という動詞の、それこそ本質はそこにあるのかもしれません。
現代人のワタクシからしますと、この映画、いろいろな意味で「カッコよすぎ」です。
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