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2021.04.27

「用宗」の語源からいろいろと

Th_img_7692 日は両親を連れて静岡は用宗の歯医者さんへ。

 ものすごく久しぶりに用宗で海を眺めました。

 しらすと海水浴で有名な用宗。昨年はコロナで海水浴場もクローズだったとか。ただでさえ静かな街ですが、今日もなんともゆったりとした時間が流れる異空間でした。

 静岡の市街地から安倍川を越えてすぐのところということもあり、最近ではこの静けさやまったり感を楽しむために東京からわざわざ来る人もいるとのこと。

 それから、イエモンの吉井和哉さんゆかりの地としても、ファンにとっては聖地化しているんですよね。

 静岡市時代の吉井くん(中学の後輩なので)、とは7年ほど前に某所でばったり(?)再会し、静岡市内のマニアックすぎるスポットの話で盛り上がりましたが(笑)、そこでも用宗の話が出ましたっけ。

 さてさて、そんな「用宗」ですが、これを読んでいる方、この地名読めますか?

 そう、正解は「もちむね」です。

 今日はその語源について書きましょう。地元の方はご存知と思いますが、この地にはかつてお城がありました。今川氏の居城をのちに駿河侵攻した武田氏が奪い取ったもので、その頃、港を持っていたことから「持舟(船)城」と呼ばれたようです。

 その「もちぶね」の「ぶ」が「む」に転訛したのが「もちむね」でしょう。バ行とマ行の交替はよく起きます。「さみしい」と「さびしい」とか。

 その傾向は、次の漢字の読みからもわかりますよね。

馬(ば・ま)

美(び・み)

武(ぶ・む)

米(べい・め)

母(ぼ・も)

 ちなみに「あっかんべー」は「赤目」なんですよ。これも「めー」が「べー」に転訛しています。「上達部」を「かんだちめ」と読むのもそうした現象の例です。

 たしかにバ行とマ行を発音してみると、唇の合わせ方がほぼ一緒ですよね。ですから読唇術ではこの両行の発音は見分けにくいとのことです。

 その難しい発音の使い分けですが、日本人は赤ちゃんの時に「ママ」と「バーバ」で訓練するんですよね。

 さらに似た唇の形をして発音するのがP音。つまり「パパ」も加わって、その微妙な発音の方法を覚えていくのです。

 とは言え、それは「パパ・ママ」時代、すなわち現代の話です。一昨日の「うぐひす」が「ウクィピチュ」だったところでも書いたように、かつてのハ行はP音だったのですから、奈良時代以前にはお母さんのことは「パパ(母)」と発音しておりました(!)。

 つまり、そこからの転訛(劣化?)で「ババ」という言葉が生れたのでしょう。同様に「ちち」から「ぢぢ」が、というわけです。

 「はは→ばば」「ちち→ぢぢ」と濁点がつくわけですが、なんとなく顔にシワやシミが出ているイメージと重なって面白いですね。

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