保守の重鎮 伊藤隆先生(静かに)吠える
今、日本の戦後史を総括することにつながるであろうお仕事をしております。
この件に関して、かつて伊藤隆先生に電凸し、のちに実際にお会いしていろいろご意見をうかがう機会がありました。それ以来、密かに心の師のお一人とさせていただいています。
その伊藤先生が、文春オンラインで辻田真佐憲さんのインタビューを受けていて、それがとっても面白かったので紹介いたします。
前編 「僕は左翼の人たちに聞きたいんだよ」保守の歴史家・伊藤隆88歳が“令和の日本”に苛立つ理由
後編 保守論壇の重鎮・伊藤隆88歳が振り返る“つくる会”騒動「こういうところにはいたくないと思った」
辻田さんもかなり思い切って切り込んでいますが、さすがそれを飄々と受け流しています。そう、実際こんな感じで飄々とされている。そして、そこにとんでもない重みと、ある種の軽みというか軽やかさというか、ユーモアというものさえ感じるんですよね。
おそらくは、戦後の日本の歴史論壇と孤軍奮闘してきた、その経験から、その重みと軽みを身につけられたのでしょう。もちろん素人のワタクシは、もうそれらに対して(思わず)笑っちゃうしかないという情けない状況になってしまうのでした。
そう、自分で自分を分析して、それこそ笑っちゃうのは、とんでもない重鎮と対峙すると、私ふざけちゃうんですよね(笑)。おそらく命乞いなのでしょう。勝ち目なんかありっこないので。自分の言葉を笑いというオブラートで包んで発するんです。そうすると、反撃されないから(笑)。
このインタビューでもおっしゃっているとおり、そして辻田さんが納得いっていないように、伊藤先生は「日本大好き」をベースとして、一方で客観的な実証主義的な研究をされているのです。そこがすごい。凡人にとっての矛盾、対立を、ご自身の中で見事に揚棄している。
歴史教育と歴史研究をごっちゃにしない。たったそれだけのことなのに、それができない人が多い(私も含めて)。そして、なぜか日本近現代史学だけ、その研究の動機として、「その研究対象(日本)が好き」と言ってはいけないことになっている。たとえば生物学をやる人は「生物が好き」と言っていいのに。
というわけで、そんな重鎮伊藤先生でさえお手上げな「研究対象」に取り組んでいるワタクシでありました。乞うご期待。がんばります。
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