ピアノのピアノ
変なタイトルですね。でも、とっても大切な話です。
今日はある友人の紹介で、ヴァイオリニストの志村寿一さんと飲みながら大いに盛り上がりました。
倍音にこだわりを持つ志村さんには、いきなり私の持参したシルク絃ヴァイオリンを弾いていただきました。そして、そこから酔っぱらいながらも非常に重要な楽器の、音楽の話をしました。
その中で「ピアノ」の話が出たんですよね。そう、なぜあの楽器が「ピアノ」なのかという話。なぜ「弱音」という名前が与えられたのか。
というわけで、今日はこの演奏を聴いていただきましょう。バッハの「音楽の捧げもの」から3声のリチェルカーレ。
この曲はプロイセンのフリードリヒ大王に捧げられたもの。そして、ちょうどその頃フリードリヒ大王はジルバーマンのピアノを購入したばかり。
それまで主流だったチェンバロに比べ、より小さい音、弱い音、すなわち「ピアノ」を出すことができるという意味で、フォルテピアノと呼ばれたのが、この楽器でした。
バッハもこの「ピアノ」を演奏し、大いに気に入ったようです。すなわちバッハの愛したクラヴィコード並みに繊細な発音ができると感じたからです。
この最初期の「ピアノ」、お聴きになってわかるとおり、高音部はまるでチェンバロのような音がします。そういう意味では「不均等」な楽器です。調律ももちろん平均律ではありませんから、まさに「ゆがんだ真珠」(バロック)の時代を引きずっていますね。
その後、西洋楽器は工業化、すなわち均質化し、また「雑味」のない音の方向に進化(退化)していってしまいました。
ヴァイオリンで言うなら、シルク絃からガット絃へ、そしてスチール絃へという進化(退化)です。
そんなわけで、変わり者の私(や志村さん)は、忘れ去られた原点、シルク絃へ回帰しようというのです。ヴァイオリンも弱音と雑味(出汁)の楽器なのです!
そしてそれが人間の大脳を変える…本気でそんなことを考えています。
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