東京大空襲から76年
明日、東日本大震災から10年の日となりますが、こちら一晩で10万人以上の方が亡くなった東京大空襲のことも忘れてはなりませんね。
6年前に「東京大空襲から70年」という記事を書きました。今も私の考え方、感じ方は大きく変わっていませんが、東京のおかれた状況は、6年前に予測したものとは大きく違っています。
ただ、この近代都市東京の苦悩が、結果として「譲る」ことにつながり、すなわち都市としての「成熟」につながっていくことは確かなようです。
私の「国譲り理論」は、「忘却」という純粋過去保存の最高の方法を積極的に捉えるものですが、その「忘却」という純粋保存から目覚めさせる、つまり必要な時にその保存したものを掘り返すためには「荒魂」が必要だと考えます。
その「荒魂」は大地震であったり、戦争であったり、そしてパンデミックであったりします。
今、まさにその「荒魂」に呑まれ、東京という都市は過去の記憶を呼び覚まそうとしているのです。
私は東京散歩が大好きなのですが、やはりそれは東京に歴史的レイヤーを感じるからだと思います。
先日も日暮里、谷中、根津のあたりを歩く機会がありました。ここは東京大空襲の戦火を免れた場所と言われ、実際古い街並みが残っていますが、実は大空襲の前、3月4日にすでに空襲を受け死者を多数出しているのでした。
そのため10日は被弾を避けられたのかもしれません。10日は強風ということもあり被害が拡がりました。ある意味不幸中の幸いということです。そんなことを考えながら歩くと、いろいろなメッセージを受け取ることができます。
ご存知のとおり、谷中にはお寺が密集し、大きな墓地もあります。御仏の御加護があったのかもしれませんね。
東京の空襲は終戦寸前まで続きました。アメリカは焼夷弾だけでなく、毒ガス、細菌兵器の使用も検討していたと言います。そのような事実も、このコロナ禍をきっかけに掘り起こさねばなりませんし、しっかり語り継がねばなりませんね。
関東大震災は防災の日として毎年思い出す機会があります。一方、この東京大空襲についてはマスコミでもなかなか報じられることがなく、まさに「忘却」の底に追いやられています。
日本が悪かったのだから仕方ない…そういう考えがあるのでしょうか。
様々な悲劇の上にコーティングを施されて成長してきた「東京」。その忘れられた地下水脈が、このコロナ禍に一気に吹き出すのかもしれません。東京オリンピックにまつわる様々な「人災」もその一つなのかもしれません。
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