『ゲンロン戦記ー「知の観客」をつくる』 東浩紀 (中公新書ラクレ)
先日紹介のホリエモンとの対談でも話題になっていたこの本。
いわゆる内容については他の方におまかせします(たとえばAmazonのレビュー)。面白かった…というのはやや憚られますが、最近読んだ本の中では抜群にひきつけられました。
皮肉なことですが、東さんのご著書の中で最もしっかり「哲学書」になっていました。
いや、それってとても本質的なことですよね。
やはり、哲学は実生活、実社会から乖離してしまってはいけないのです。また、一人の人間の生々しい人生から離れても成立しないのです。
ここまで自らの失敗や弱点をさらけ出すには、ある種の修行が必要です。そう、宗教的な悟りもそうなのです。
ですから、この本の何が私をひきつけたかというと、そうした東さんの悟りの境地と、それに至る修行の過程のリアルさです。
私も、今までたくさんの哲学書や宗教書を読んできましたが、この本ほど実用的な力を感じたものはありませんでした。
私も、哲学や宗教や芸術の世界に逃げてきた。こちらの方が上で、世間を見下しているようなところもあった。そんなことを、こうして告白してしまうほどに、東さんのこの本は、私を開眼させてくれました。
おそらく私自身も、経営的なこと、お金のことはもちろん、その他の面倒なことも苦手なことも人任せにしてきたのだと思います。ですから、ここでもし私が独立でもして会社でも作ったら、おそらく東さんと同じ道を歩んだことでしょう。
まあ、それが真の修行となり、結果として悟りや哲学が得られるのなら、それもいいかもしれませんが、やはり私たち人間は、こうして他者の経験、特に失敗から学ぶことができるわけですから、轍を踏むわけにはいきませんね。
というわけで、本当に「有難い」本でした。
Amazon ゲンロン戦記
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