絹糸ヴァイオリン(ヴィオラ)
緊急事態宣言がなければ、今日は東京にて演奏をする予定でした。
先日お会いした、日本を代表する生田流箏曲家、安藤政輝さんとのコラボ。新春ということもあり、宮城道雄の「春の海」を共演するはずだったのですが、残念ながら私は行けませんでした。
昨年末、安藤先生に初めてお会いした時の記事はこちら。
そこには「シルクとガットの共演」のようことを書きましたが、実は今回は「シルクとシルク&ガット」の共演になる予定だったのです。
というのは、前回お会いした時に、お琴の絹糸や三味線の絹糸を何本かいただきまして、それを翌日のモーツァルトの演奏が終了してすぐに、私の5弦なんちゃってバロック・ヴィオラに張ってみたのです。
お琴の絹弦はD線にぴったり。さらに三味線の二の糸がA線にぴったり。そしてヴァイオリンのE線にあたる5弦目は三の糸を。これはちょっと細すぎ。二の糸を張ってみましたが、さすがにEまでは上げられず(切れませんが)C止まり(ちなみに写真の5弦は三味線三の糸)。
ということで、本番はC線とG線はガット、D線とA線、そして5弦目Cはシルクというハイブリッド・スコルダトゥーラで調弦して臨む予定だったのです。
で、肝心の音ですが、これが素晴らしい!びっくりしました。今回はお琴と三味線の弦を適当に代用したので、ややテンションが足りず、音量はガットの8割くらいまで下がってしまいますが、その音質、倍音の豊かな音色は予想以上に美しい。お聞かせできないのが残念です。
知り合いの琴糸職人さんが、これからヴァイオリン属やヴィオール属のために試作品をたくさん作ってくれるということなので、いずれ「シルク・オーケストラ」や「シルク・コンソート」を実現してみようと思います。
演奏側としての心配として、より糸は弓で弾きにくいのではないかということがありましたが、これは杞憂でした。裸ガットを弾き慣れている人にとってはなんの問題もないでしょう。
かつて戦前ヴァイオリンがブームになった時、なかなか弦が手に入らず、多くの演歌師たちが三味線の弦を代用したという話をどこかで聞きましたが、なるほど可能性ふつうにありますね。やってみてよくわかった。
そしてその音がこんなに素晴らしいとは。現代のヴァイオリン属や、その集合体であるオーケストラの音って、正直どうなの?と思ってしまいます。戦前まではウィーン・フィルもベルリン・フィルも裸のガット張ってたみたいですし、もしかすると、日本にはシルク・オーケストラがあったかもしれない?
このプロジェクト、これからの展開が楽しみです。宮城道雄という東西の音楽を結んだ天才の作品もまた、ここで新しい魅力を発揮するかもしれません。なにしろ、今普通の演奏は、ナイロン弦の箏と金属弦のヴァイオリンによるものなのですから。
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