宮城道雄 『交声曲 日蓮』
昨日のサディスティック・ミカ・バンドの続きで、宮城道雄の「日蓮」です。
今日、古楽の大先輩とメールで絹弦ヴァイオリンの話や生田流箏曲の話で盛り上がりました。その中でイチオシだったのがこの「日蓮」。
宮城道雄が昭和29年に作曲した交声曲(カンタータ)です。先輩のおっしゃるように、たしかにこれほど大掛かりな曲を作曲できる人はそうそういませんね。それもご本人は箏奏者であって本格的に西洋音楽を学んだわけではないのですから。
いわゆる新日本音楽の急先鋒であった宮城道雄。今ではまるで彼の音楽が「純邦楽」のごとく受容されているふしもあるのですが、彼のやった仕事は本当に日本音楽の革命でした。
そしてそれが成功を収めた数少ない例なのです。
先輩がおっしゃるとおり、洋楽の演奏家はもっと宮城作品を聞くべきです(と言いつつ、私も最近のご縁で改めて全貌を把握しようとしているわけですが)。
まさに「黒船」に食われるのではなく、食ってしまうという精神のもとに、宮城道雄は無数の作品を作り続けたのでしょう。
私は山田流の箏曲をやっていたので、そういう意味で中能島欣一先生の作品に惚れ込んできたのですが、その前提としてもっと宮城道雄作品をしっかり味わってくればよかった。
この「日蓮」が作曲された昭和29年というと、仲小路彰が裏で企画した「アズマカブキ」にも、宮城道雄が参画した年です。昭和26年の聖徳太子1330年遠忌の際に、仲小路彰が作詞した交声曲「聖の宮の御前にありて」に宮城道雄が作曲して以来、二人は親密な関係にあったようで、ちょうどその時期に作曲されている仲小路彰の歌曲集にも、宮城道雄の音楽観が反映しているものと思われます。
そのあたりについて、今年は聖徳太子1400年遠忌ということもあって、自分なりにしっかり調べてみたいと思っています。
そして、昔の日本人はすごかった、で終わらないようにしたいですね。
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