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2021.01.30

下総皖一 『柳原白蓮の短歌による歌曲』 小川明子(アルト)

 

 本の古い音楽ネタが続きます。古いのに新しいというところがポイント。

 昨日の宮城道雄とも交流の深かった作曲家、下総皖一の歌曲を紹介しましょう。実に美しいのです。

 私は大学時代に下総皖一を少し研究しました。山田流箏曲をやっていた関係もあり、中能島欣一とも関係の深かった下総皖一の楽譜をいくつか所持していました(どこかにあるはず)。下総は箏のための魅力的な曲を書いていたのです。

 下総は国内では信時潔に、ドイツではヒンデミットに師事し、まさに日本の音楽や言葉と西洋の音楽を組み合わせることに尽力した作曲家です。

 今日紹介するのは、あの柳原白蓮の短歌による歌曲集です。全13曲。短歌が元になっていますから、どれも短い歌ですが、実に美しい。

 しっかり日本語の高低アクセントを守りつつ、実にシンプルながら魅力的なメロディーをつけ、そこにまた西洋和声学に則りつつ、長調短調を自由に行き来するなど日本の伝統音楽にも通ずる特徴的なピアノ伴奏を加えています。

 下総は、団伊玖磨や芥川也寸志ら、その後の日本を代表する作曲家を多く育てました。その団や芥川は仲小路彰と親交がありました。昨日は、仲小路の歌曲に宮城道雄の影響があるのではと書きましたが、間接的に(あるいは直接的に?)下総の影響もあるかもしれませんね。

 ちなみに柳原白蓮は出口王仁三郎とは因縁の仲(こちら参照)。

 やはり「歌」の世界は、どこか霊界と結びついているのでしょう。

 多くの日本歌曲を現代に復活させている声楽家の小川明子さん。小川さんの歌唱も時空を超えて見事に「歌」の本質に迫っていると思います。

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