追悼 中村泰士さん なかにし礼さん
クリスマスイブはいつまでも悲しい夜。
「北酒場」のコンビ、なかにし礼さんと中村泰士さんの訃報が…。筒美京平さんに続き、また昭和の文化を支えた天才がこの世を去ってしまいました。
地元の天才作詞家、作曲家である、フジファブリックの志村正彦くんの命日でもある今日。
昨年で彼の突然の死から10年ということもあり、一つの区切りをつけたつもりでした。クリスマスイブはクリスマスイブを楽しもうと。
それなのに。
今日は先に中村さんの訃報が入ってきました。あらためて北酒場を聴いていたところ、なんと今度はその詩を書いたなかにし礼さんが今日亡くなったとの第一報が。
クリスマスイブはいつまでも悲しい夜。
新しい時代が始まるために、古い時代は消える運命なのか。いや、そんなはずはない。
彼らの詩やメロディーは、もろちん時代を超えて生き続けます。それでもやっぱり悲しい。
なかにし礼さん、中村泰士さんのコンビと言えば、やはりなんと言っても細川たかしさん。
北酒場も名曲ですが、デビュー曲である「心のこり」が少年時代の私に与えた衝撃は忘れられません。
今あらためて聴いてみると、あの頃感じた衝撃というのは、日本語の高低アクセントを無視した中村さんの自由な作曲技法にあることがわかります。
演歌の世界は比較的アクセントとメロディーの関係性を大切にする、すなわち語りとして聞き手に内容が伝わることを重視していたのですが、中村さんはそれをあえて破った。
ユーミン、拓郎、陽水ら、いわゆるニューミュージックの若者たちが、そうした作曲伝統を自由に破って、豊かなメロディー世界を作り出していた…それはメロディー(音楽)による言葉への下剋上であった…中、そうした当時の流れを見事に演歌的な世界に持ち込んだ一人が中村さんでした。
メジャーキーというレベルではなく、解放されたメロディーのおおらかさや明るさが、細川たかしさんの声質や歌唱力、キャラクターとうまくマッチしたのですね。
もちろん、それを承知し認めたなかにし礼さんの、日本語に対するある種のこだわりを捨てた創造的な愛も素晴らしい。全く新しい歌詞の世界が生まれた瞬間です。作詞家によっては、アクセントをものすごく気にしますからね。シンガーソングライターならまだしも、職業作詞家ならそれが普通です。
そんなお二人の偉業をしっかり胸に刻み、かつ、彼らの世界観を平成の世にブラッシュアップして聴かせてくれた志村正彦くんにも感謝しながら、「心のこり」を聴いてみたいと思います。レコード大賞新人賞受賞の映像。
ご冥福をお祈りします。
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