「我は即ち宇宙」…合気道の神髄
昨日の続きで合気道のお話を。
合気道開祖植芝盛平が出口王仁三郎の影響を強く受けていることは書きました。なにしろ、王仁の入蒙の際に同行し、死を覚悟する法難(パインタラ事件)に合っているくらいですからね。
その事件の際の写真がこれ。左から二人目が王仁三郎、三人目が盛平。なんとなく余裕な王仁と、深刻そうな盛平のコントラストが興味深い。
結局、奇跡的に命拾いするその体験もまた、合気道の精神につながっていきます。すなわち「神の心」を持ち、「我は即ち宇宙」であると観じていれば、そこには敵は存在できず、戦わずして勝ってしまうという体験をしたということですね。
ですから、盛平の語る合気道の理念は、そのまま王仁三郎の思想、教えと一致しています。
私は合気道は一度しか体験しておりません。盛平の最期を看取った内弟子の方に、息だけで吹っ飛ばされた体験です。私もその体験で「自分の戦う心に負けた」と観じました。つまり、その師匠が宇宙そのものだったということです。
そこから、私も、塩田剛三の言う最強の技「自分を殺しに来た敵と友になる」を実践し、戦わずして勝つことができるようになりました。
そうした合気道の神髄について、「武産合気」に分かりやすい解説がありますので、それを引用しておきます。ぜひお読みください。人生全体に使える技を知ることができます。
合気とは、敵と闘い、敵を破る術ではない。世界を和合させ、人類を一家たらしめる道である。合気道の極意は、己を宇宙の働きと調和させ、己を宇宙そのものと一致させることにある。合気道の極意を会得した者は、宇宙がその腹中にあり、「我は即ち宇宙」なのである。私はそのことを、武を通じて悟った。
いかなる速技で、敵がおそいかかっても、私は敗れない。それは私の技が、敵の技より速いからではない。これは、速い、おそいの問題ではない。はじめから勝負がついているのだ。
敵が、「宇宙そのものである私」とあらそおうとすることは、宇宙との調和を破ろうとしているのだ。すなわち、私と争おうという気持ちをおこした瞬間に、敵は既に破れているのだ。そこには、速いとか、おそいとかいう、時の長さが全然存在しないのだ。
合気道は、無抵抗主義である。無抵抗なるが故に、はじめから勝っているのだ。邪気ある人間、争う心のある人間は、はじめから負けているのである。
ではいかにしたら、己の邪気をはらい、心を清くして、宇宙森羅万象の活動と調和することができるか?
それには、まず神の心を己の心とすることだ。それは上下四方、古往今来、宇宙のすみずみにまでにおよぶ、偉大なる「愛」である。「愛は争わない。」「愛には敵がない。」何ものかを敵とし、何ものかと争う心は、すでに神の心ではないのだ。これと一致しない人間は、宇宙と調和できない。宇宙と調和できない人間の武は、破壊の武であって、真の武産(たけむす:神道の真理の言葉)ではない。
だから武技を争って、勝ったり負けたりするのは真の武ではない。真の武はいかなる場合にも絶対不敗である。即ち絶対不敗とは絶対に何ものとも争わぬことである。勝つとは己の心の中の「争う心」にうちかつことである。あたえられた自己の使命をなしとげることである。しかし、いかにその理論をむずかしく説いても、それを実行しなければ、その人はただの人間にすぎない。合気道は、これを実行してはじめて偉大な力が加わり、大自然そのものに一致することができるのである。
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