兼六園のヤマトタケル像の不思議 その2
金沢に初めて来ております。
というわけで、8年前にこのブログで紹介したあのヤマトタケルさんと初めて対面いたしました。
実際お会いしてみると、たしかに不思議な魅力(?)のある金仏さんですね。
上の記事で紹介した不思議については、今でも「鳥に嫌われている」とか「ブサイクすぎて近づけない」とか、けっこう無礼なことを言う人もいるようですが、そこにはこの銅像の建立にあたっての「不思議」が深く関わっているようです。
というのは…今日の観光ガイドの方の話にもあったとおり、この像の鋳造者はお隣富山県高岡の鋳物師なのです。日本中、いや世界中そうであるように、だいたいお隣同士というのは仲が悪い(笑)。
石川と富山もご多分に漏れず、特にかつては妙なライバル意識というか、不毛なマウントの取り合いがあったようですね。
兼六園という、まさに加賀百万石を象徴する庭園の中心に、なぜお隣で鋳造された銅像が堂々と立っているのか。これは大きな不思議です。
実はこのあたりの事情については、よく分からないことも多いのだと。ただ、分かっているのは、当初、当時石川県を代表する彫刻家であった松井乗雲が原型を作ったのにもかかわらず、なぜかそれが採用されずお隣高岡の無名の作家(特定できていない)の原型をもとに高岡で鋳造されたということです。
せめて松井乗雲の原型を使って高岡で鋳造すればよかったのに。松井乗雲の木彫は石川県立美術館に保存されています。どう見ても現在のヤマトタケル像よりも優れていると思うのですが、どうでしょうか。
たしかに高岡は加賀藩主前田利長が開いた街ですし、それこそ石川県に隣接していますから、実際に鋳物業が日本一のレベルであったことを考えれば、鋳造は高岡でも構わなかったと思うのです。
しかし、なぜデザインの部分までそちらに行ってしまったのか。そこは「不思議」ですね。
金沢側の高岡側へのやっかみを抜きにしても、やはり現在のヤマトタケル像は「不思議な魅力(?)」と言われてもしかたないほどツッコミどころ満載です。
まあ、なんだかんだ言って今では金沢の人たちにも愛され、世界中の人たちが見に来ることになったので、結果オーライということなのでしょうか。
ちなみに、言うまでもなくこの像は西南戦争での石川県出身の戦没者を慰霊するために建立されたものです。西南戦争を率いたのは有栖川熾仁親王。実際、台座の「明治紀念之標」の文字は熾仁親王の揮毫です。熾仁親王は出口王仁三郎の本当の父親だという説があります。
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