大阪城(大坂城)
一昨日の「本能寺」は、秀吉が移転したもので、いわゆる「本能寺の変」の舞台ではありません。
元々の「本能寺」は今、学校やマンションになっています。これまた日本らしいすごいことですね。東京なんかでも、結構血なまぐさい歴史的な場所が高級マンションになっております。
今日立ち寄った「大阪城」もオリジナルではありません。つまり、秀吉が建てたものではない。天守以外はほとんど全て徳川時代のものです。豊臣大坂城の遺構は近代的な構造物の下に眠っています。
一方、いわゆる徳川大坂城は、これまた数奇な運命を辿っております。天守は完成後40年ほどで消失。現在の天守はいわゆる復興天守。昭和6年竣工のものです。基本設計は徳川天守の模倣。しかし、ご存知のとおり、その中身は豊臣の博物館になっています。
なんだか複雑なような、あるいは大雑把なような…これまた日本的ですね(笑)。豊臣なのか徳川なのか。だいたい「大坂城」なのか「大阪城」なのか。私の頭の中では、豊臣大坂城、徳川大坂城、そして復興大阪城というイメージなのですが。
復興大阪城は昭和天皇の即位を記念して計画されました。即位の礼は昭和3年。これもちょうど一昨日の本能寺の記事に書きましたね。昭和3年というのは重要な年です。そして、天守閣が完成して開館したのが昭和6年。
鉄筋コンクリート(SRC)、エレベーター付き。形は古式なれど建築技術的には当時最新のもの。SRC建築としては国内最古のものの一つです。
実際、建築後60年以上経った阪神淡路大震災の時にも、建物には大きな被害は出ませんでした。これは、大正12年の関東大震災の経験によるものでしょう。関東大震災からの復興を手掛けた後藤新平や、東京タワーの設計者としても有名な内藤多仲らの知恵の結晶だと思います。
阪神淡路大震災後、初の大修復が行われ、さらに耐震強度が高まったそうです。SRCは地震大国日本で発達した工法。世界に誇るべき技術ですね。
ちなみに、何度か書いていますが、内藤多仲は山梨の人であり、宮下文書の研究会「富士文庫」の理事もやっていました。また、能に対する造詣が深かったとのこと。アメリカで西洋建築を学んだ実に立派な科学者でありながら、日本の「モノ」世界にも通じていたようであり、そのあたりが彼の偉業の基礎になっていたように思えます。あの時代の偉人はだいたいそんな感じでした。
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