バッハ 『前奏曲とパルティータ BWV 833』
バッハの若い時の作品。まったく「バッハ」らしくない。偽作説は今では否定されているようですが、本当のところどうなんでしょう。
いや、青年バッハはこうしてまずはイタリアやフランスやドイツの大先輩たちの音楽を研究し、真似し、そして次第に自分らしさを作り上げていったというのは自然なことなのかもしれません。
様式や和声感は完全にフランス。しかし、非常に印象的なアルマンドの同音反復はフローベルガーやブクステフーデら、ドイツの大先輩の影響も感じます(もちろんその源流はイタリアですが)。
それにしても、この曲のタイトルにある「第三旋法」とはなんなのでしょうか。これは謎です。
教会旋法の第3はフリギア。この曲は紛うことなきヘ長調です。両者には関係性は認められませんよね。
この曲を、後年バッハの長兄ヨハン・クリストフが筆写しており、そこにも「第三旋法」と書かれているようですから、なにか意味はあったのでしょう。さすがに長男には意味を伝えていたと思いますから。
そして、最終曲の「エール」がまた不思議な曲。のちのロンド形式の原型のような構造ですが、まずテーマが左手に提示され、右手は数字で和音を示してあります。「歌」というにはなんとも中途半端なメロディーの繰り返しのようにも感じます。
その、ある種の不自然感を際立たせてくれるのが、初音ミクです(笑)。
いや、冗談抜きで、初音ミクの「歌」によって、この曲の構造的な不自然さというか、アマチュアっぽさが鮮明になっていますよ。
なんだか、自分も昔、こんなような習作を作ったことがあるような(笑)。
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