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2020.10.05

『真実のビートルズ・サウンド完全版』 川瀬泰雄 (リットーミュージック)

全213曲の音楽的マジックを解明

Th_51eyg8m1snl_sx351_bo1204203200_ 日のコレルリの記事にもビートルズ・サウンドのことが出てきました。

 昨日紹介した下降音階低音について、川瀬さんは「ポールのクリシェ」として紹介しています。私は「肝心なところにしか使わない」と書きましたが、クリシェとは本来そういうものでしょうね。

 それにしても、この本、Kindleのunlimitedだと無料で読めるんですよね!なんと素晴らしい時代になったことか。

 この本は実際に曲を聴きながら読むべきものです。普通の本のように最初から順に読んでいくのもありかもしれませんが、やはり事典のように使いたいですね。

 そういう意味で、常にKindleで携帯できる、読めるというのは本当に最高であります。

 一昨日、NHKのBSで山口百恵さんの伝説の武道館コンサートを放映していました。著者の川瀬さんは山口百恵さんのプロデューサーでもあります。このコンサートにもレコーディングのプロデューサーとして携わっていたとのことです(しかし、一観客としてチケットを買って聴いていた)。すごい歴史的な音楽業界人ですよね。

 そんな川瀬さんの音楽のベースにあるのがビートルズ。世の中にはビートルズ・マニアはあまたいますが、その中でも川瀬さんは「実学的」な視点を持った稀有な存在です。

 その「実学的」な内容が魅力的なこの本。単なる楽曲分析やレコーディング秘話なら、ほかにもたくさん類書がありますが、やはり、現場の人の視点は特別ですね。

 細部にこだわるマニアにとっては、いろいろと異論があったり異説を信じていたりすることもあるでしょう。しかし、やはり「現場」の雰囲気、空気という、ある意味言語化できない部分、数値化できない部分を伝えるということでは、右に出る人はいないのではないでしょうか。

 もちろん、そこには川瀬さんの個人的な体験に基づく想像や創造もあると思いますが、それでいいじゃないですか。生々しい思い入れが残っている限りは、まだビートルズは歴史(クラシック)にしてしまいたくはありませんから。

 私も、マニアとは言えませんが、ビートルズには多大な影響を受けてきましたし、まだまだ現在進行形でいろいろな発見をさせてもらっています。本当につくづくビートルズが登場した直後に生れて良かったと思いますよ。記憶にはないとはいえ、同時代を生きたわけですし、新たな音源も含めて全ての楽曲をこうして追体験できるわけですからね。

 それにしても、あの4人がどうしてこういう奇蹟が起こせたのでしょうか。映画「イエスタデイ」ではありませんが、やっぱり彼ら、未来(あるいは異次元)から曲をダウンロードしたんじゃないでしょうかね。

Amazon 真実のビートルズ・サウンド完全版

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