『捻くれ者の生き抜き方』 鈴木秀樹 (日貿出版社)
深く共感しながらあっという間に読了。
ご本人は「捻くれ者」と言っていますが、語っていることは全て正論。
つまり、世の中がおかしいのです。
プロレス界だけではありません。うまく回っているように見えるけれど、どこかごまかしや妥協があるので、実は非常に脆弱な社会。コロナでそれが露見していますね。
そういう意味では、私は教育界の「捻くれ者」でしょう(笑)。最近は「学校をぶっ壊す」と公言していますし。
そう、つまり鈴木選手が言うように、常識という同調圧力が生む停滞、結果としての後退がいやでたまらないのです。
この本の太字の部分、全て学校に、教育にも当てはまりますよ。面白いくらい。
たとえば、「『自分が観ている立場だったら嫌だな』と、観る側の席に座った立場で観ている」という言葉。世阿弥の言う「離見の見」ですが、教師としてこの基本的なことを考えている人が、いったいどれくらいいるのでしょう。実に情けない現場ですよ、教室は。
あるいは、「プロレスの『適性』は、プロレスのことを考え続けられること」という言葉。これは「教師の『適性』は、教育のことを考え続けられること」と置き換えられます。これはどんな分野にも通ずる名言だと思いますが、案外プロなのに(給料もらっているのに)その専門分野のことを考えて続けていない人が多いでしょう。皆さん、どうですか。
なかなか理解されないのですが、私は本当にプロレスから多くのことを学んで、リング(教壇)に立っているのです。
教室に入る時からの「たたずまい」も大切です。入場のスタイルですね。対戦相手であり観客である生徒の立場に立ち、相手の技や声援をちゃんと拾って活かす。あらゆる技を鍛え、どんな展開にも対応できるようにする。ストーリーとアドリブのバランス。
私も「フリー」になろうかな…真剣にそんなことを考えてしまいました。というか「フリーの教師」ってどんなんだ(笑)。
鈴木選手のことは、UWFスネークピットジャパンの宮戸優光さんを通じて、デビュー前から知っていましたし、実際ビル・ロビンソンさんの指導を受ける鈴木選手の姿も見ていました。
8年前にはウチの中学校に来てもらったことがあるんです。餅つきしてもらいました(笑)。あの時はまだIGFで活動している頃で、ご自身もこの本で語っているように、「グレー」な中でいろいろと模索している時期でした。
その後、フリーになり、各団体のチャンピオンになっていくわけですが、やはりその中での自分の価値の作り方、守り方はある意味独特でした。すなわち同調圧力や常識の中で安定を求めるのではなく、まさに「自分で考える」ことをやってきた人だと思います。
だからこそ、先輩に対しても正論を言える。変な忖度はせず正しいものは正しい、間違ったことは間違っているとい言える。それは全く簡単なことではありません。自分の生きている「社会」の中でそれができるかどうか、考えてみれば分かります。
そんな意味で、私は鈴木選手から学ぶことが多いし、多くの刺激を受けています。これからも応援しますので、ぜひ「社会」という敵と戦い続けてください。私も鈴木選手に負けないように頑張ります!
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