『恋人よ、われに帰れ LOVER COMEBACK TO ME』 大林宣彦監督・沢田研二主演作品 (フジテレビ)
2018年の尾道映画祭のクロージング作品として上映されたドラマ。
昨日の「シーモアさん…」で、シーモア先生が朝鮮戦争の思い出したくない思い出を語って涙していました。
日本人にとっては、漁夫の利で日本復活のきっかけとなったこともあって、あまり意識されることのない朝鮮戦争。アメリカにとっては、ベトナム戦争に劣らぬダメージを残した、それこそ思い出したくない過去でしょう。
このドラマでも、沢田研二さんが演ずる日系アメリカ人ケンが、朝鮮戦争に行かず軍を脱走してしまいます。このドラマでは、戦争が誰かを救うのではなく全ての人を傷つけるということが一つのテーマとなっています。本当にそうですね。
このドラマが放映されてから37年になりますが、朝鮮戦争はまだ「休戦中」です。つまり、朝鮮戦争は70年続いているのです。
脚本は早坂暁さん、監督は大林宣彦さん、音楽は前田憲男さんと玉木宏樹さん。キャストも豪華。
広島への原爆投下と被爆を通じ、加害者もいつの間にか被害者になっていくことを表現しており、単に日米どちらが悪いというような話になっていないところが、いかにも早坂さんらしい脚本だと思いました。
大林監督独特の、あの「書き割り」風な背景に違和感を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、それこそ彼ならではの脳内リアリズムの表現であり、最後まで貫かれたこだわりの表現でもあります。能や歌舞伎からマンガやアニメにもつながる伝統的な技法ですね。
音楽も素晴らしい。ジュリーの歌うジャズは、本家中本マリと真梨邑ケイに劣らず魅力的。焼け跡の闇市のごった煮的なパワーがジャズとぴったりですね。それから大切なところで使われるバロックの名曲たち。いいですね。
ジュリーは本当にイケメン。泉谷しげるは野性的でかっこいい。そして、大竹しのぶと風吹ジュンは可愛く、小川真由美は妖艶。
こういうドラマを普通にテレビでやっていた昭和の時代はすごかったなあ。テレビの時代は終ったとか言っていますが、はたしてこういうコンテンツはどこにあるのでしょうか。Netflixですか?少なくともYouTubeにはないですよね。
YouTubeにはエンディングだけありました。これだけでも結構アヴァンギャルドですよね。今こそ、こういうコンテンツを地上波で再放送してほしいなあ。
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