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2020.10.27

Keith Jarrett 『My Song』

 楽における和声については、なんとなく理論化(コト化)できるので、やろうと思えばそれなりに思い通りのコトができる予感がします(実際には勉強不足でできませんが)。

 しかし、メロディーとなると、これは非常に不思議で、なかなか理論化(コト化)できず、やはり「モノのね」なのかなあと思う今日このごろです。

 先日亡くなった筒美京平さんは、まさに「メロディー・メーカー」でした。コード進行は洋楽からの借用で説明がつきますが、そこに乗せる旋律が独特で優れていました。何度も書いているように、最初の2小節で世界に引き込む、そういう音列を生み出す天才でした。

 昨日の記事で紹介したザ・ピーナッツの楽曲を多く手掛けたすぎやまこういちさんもそういうタイプ。このたびの文化功労者選出、おめでとうございます。

 バッハもなんだかんだ言ってメロディーが優れていたので、あの構築された厳格な世界に私たちが親しめるわけです。アルビノーニなんか、まさに当時の名メロディー・メーカーですよね。そういう意味ではロマン派(的なモノ)をすでに用意していたとも言えます。

 さて、そういうシンプルな音列としての旋律の美しさを考える時、どうしても外せないのがキース・ジャレットのマイ・ソングです。

 歴史的には逆回転になりますが、まず2009年のベルリンでの演奏から。美しい。

 

 

 長めのイントロのあと、1:30から始まるこの曲のメロディーはとてもシンプルです。後半はそれをディヴィジョンしての変奏となります。

 次に1978年の、あの伝説の武道館ソロ・コンサートのアンコールでの演奏。これは本当に神がかった演奏ですね。当時生で聴いた方が、本当に鳥肌が止まらなかったと言っていました。それはそうでしょう。

 上のベルリンでも至上の美しさですが、この武道館ヴァージョンを聴くと至上のまだ上があるのだなあと思わずにいられません。

 

 

 この曲の原曲は、言うまでもなくEuropean Quartetの1977年の作品です。ヤン・ガルバレクの澄んだサックスによる、このシンプルなメロディーが本当に美しい。ライヴ版がありましたのでどうぞ。

 

 

 というわけで、(良い)メロディーとはなんなのかが最近のテーマでして、まずは自分たちでやってみようということで「Melodies」というユニットを立ち上げているところです。

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