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2020.09.01

『帰ってきたヒトラー』 ダーヴィト・ヴネント監督作品

 

 日はひょんなことから大変ドイツに詳しい方(と言うよりほとんどドイツ人である日本人)と話をする機会がありました。

 実に面白い人類学的な視点から歴史を振り返ることができ、本当に勉強になりました。さすがゲルマン民族は違うわ(笑)。

 そこでリアルに思い出したのが、この映画。今日の話をうかがってから、もう一度見直すとまた全然違った気づきがありました。

 この独特の諷刺精神というか、ユーモアの感じも、なるほど実は非常にゲルマン的なのかもしれませんね。

 そう、この映画で表現されているヒトラーこそが、ある意味非常にドイツ人的ドイツ人なのかもしれませんね。今日のお話を思い出すと、そう思わずにいられません。

 一昨日の、いかにもフランスといったルノワールの「ピクニック」とは対照的な世界とも言えましょう。

 日本版「Er ist wieder da 〜彼が帰ってきた」を作るとしたら、誰を現代にお迎えしましょうかね。そんなことを考えながら観るのも一興です。

 そう、今日の対談の中に「人種というドイツ語を使ってはいけない」という話がありました。また、「ドイツ人は全くあの戦争を乗り越えていない」という話や、「ホロコーストは全く無感情に行われた」という話もありました。「民族としていまだに上から目線だし排他的だ」とも。

 この映画を観ていると、さもありなんと思えてきて、最後は笑えなくなりますね。

 そして、これも今日の話題になりましたが、バロック音楽においても、なぜバッハのような音楽家が生れたか、これもやはりドイツだからこそということでしょうね。

 ところで、この「ヒトラー」、けっこういい人として描かれていまして、それが本国でも批判の対象になったと言いますが、原作者が言うとおり、こういう「リアル」に向き合わないと、つまり、ヒトラーを完璧な悪魔に仕立てているかぎり、それこそドイツ人は過去を乗り越えられないでしょう。

 よく、ドイツは謝罪し反省したが、日本は…という暴論を耳にしますが、それもまた日本を完璧な悪魔に仕立てているわけであって、それまた自身の過去を乗り越えられない結果を生むでしょうね。

 そんなことも含めて、とても他人事とは思えない、そして単純には笑えない、けっこう重い作品です。

 最近私がそこら中で主張している、日本の学校の軍隊文化に通じるシーンもあります。ある時からの日本の軍隊文化は、それこそナチスから輸入したものですし。

 …と、結局重くなってしまい、コメディにふりきれないところもまた、ドイツ人らしい?w

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