『帰ってきたヒトラー』 ダーヴィト・ヴネント監督作品
今日はひょんなことから大変ドイツに詳しい方(と言うよりほとんどドイツ人である日本人)と話をする機会がありました。
実に面白い人類学的な視点から歴史を振り返ることができ、本当に勉強になりました。さすがゲルマン民族は違うわ(笑)。
そこでリアルに思い出したのが、この映画。今日の話をうかがってから、もう一度見直すとまた全然違った気づきがありました。
この独特の諷刺精神というか、ユーモアの感じも、なるほど実は非常にゲルマン的なのかもしれませんね。
そう、この映画で表現されているヒトラーこそが、ある意味非常にドイツ人的ドイツ人なのかもしれませんね。今日のお話を思い出すと、そう思わずにいられません。
一昨日の、いかにもフランスといったルノワールの「ピクニック」とは対照的な世界とも言えましょう。
日本版「Er ist wieder da 〜彼が帰ってきた」を作るとしたら、誰を現代にお迎えしましょうかね。そんなことを考えながら観るのも一興です。
そう、今日の対談の中に「人種というドイツ語を使ってはいけない」という話がありました。また、「ドイツ人は全くあの戦争を乗り越えていない」という話や、「ホロコーストは全く無感情に行われた」という話もありました。「民族としていまだに上から目線だし排他的だ」とも。
この映画を観ていると、さもありなんと思えてきて、最後は笑えなくなりますね。
そして、これも今日の話題になりましたが、バロック音楽においても、なぜバッハのような音楽家が生れたか、これもやはりドイツだからこそということでしょうね。
ところで、この「ヒトラー」、けっこういい人として描かれていまして、それが本国でも批判の対象になったと言いますが、原作者が言うとおり、こういう「リアル」に向き合わないと、つまり、ヒトラーを完璧な悪魔に仕立てているかぎり、それこそドイツ人は過去を乗り越えられないでしょう。
よく、ドイツは謝罪し反省したが、日本は…という暴論を耳にしますが、それもまた日本を完璧な悪魔に仕立てているわけであって、それまた自身の過去を乗り越えられない結果を生むでしょうね。
そんなことも含めて、とても他人事とは思えない、そして単純には笑えない、けっこう重い作品です。
最近私がそこら中で主張している、日本の学校の軍隊文化に通じるシーンもあります。ある時からの日本の軍隊文化は、それこそナチスから輸入したものですし。
…と、結局重くなってしまい、コメディにふりきれないところもまた、ドイツ人らしい?w
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『RRR』再び!(2023.03.14)
- 大川隆法(霊) vs 上祐史浩 vs 長井秀和(2023.03.10)
- 『おそ松さん(実写映画版)』英勉監督・Snow Man主演作品(2023.03.08)
- 『TENET』 クリストファー・ノーラン脚本・監督作品(2023.03.07)
- 表現者 ちあきなおみ〜ジャンルを超えた魅惑の歌声(2023.03.04)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 『TENET』 クリストファー・ノーラン脚本・監督作品(2023.03.07)
- 仲小路彰 『昭和史の批判史』より「二・二六事件の本質」(後半)(2023.02.28)
- 仲小路彰 『昭和史の批判史』より「二・二六事件の本質」(前半)(2023.02.27)
- 仲小路彰 『昭和史の批判史』より「二・二六事件」(2023.02.26)
- ヤマグチ社(2023.02.19)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 「温故知新」再び(2023.03.16)
- 『RRR』再び!(2023.03.14)
- 中西圭三 『Choo Choo TRAIN』(2023.03.09)
- 武藤敬司 引退試合(東京ドーム)(2023.02.21)
- 追悼 松本零士さん(2023.02.20)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 『RRR』再び!(2023.03.14)
- 東日本大震災から12年〜最大余震はこれから(2023.03.11)
- 森進一 『見上げてごらん夜の星を』(2023.03.03)
- 臨時特別号「日刊ニャンダイ2023」(2023.02.22)
- 天王坂に思う(2023.02.23)
「教育」カテゴリの記事
- 「温故知新」再び(2023.03.16)
- 『禅語を生きる』 山川宗玄 (春秋社)(2023.03.01)
- 「や〜だ」はどこから来るのか(2023.02.24)
- 追悼 松本零士さん(2023.02.20)
- AGIが世界を変える(2023.02.15)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 「温故知新」再び(2023.03.16)
- 『RRR』再び!(2023.03.14)
- 東日本大震災から12年〜最大余震はこれから(2023.03.11)
- 大川隆法(霊) vs 上祐史浩 vs 長井秀和(2023.03.10)
- 『TENET』 クリストファー・ノーラン脚本・監督作品(2023.03.07)
コメント