追悼 山崎正和さん
劇作家、評論家の山崎正和さんがお亡くなりになりました。
山崎さんだったら、昨日の「七つの会議」をどう評したでしょうかね。たぶん厳しい評価なのでは。
山崎正和さんと言えば、私たち国語教師としては「水の東西」をまず思い出します。いや、ほとんどの方がおそらく高校の現代文(現代国語)の授業で教わった記憶があるのではないでしょうか。
私もご多分に漏れず高校時代にこの文章に出会って、東西比較文化論の面白さに気づかせていただきました。
国語教師になってからは、実はこの教材で授業をしたことがありません。
一つの理由は…これは山崎さん自身も認めてくださって安心したのですが…これが「評論」ではなく「随筆(随想)」だということに気づいてしまったからです。
ご本人もおっしゃっているように、たしかに評論寄りの随筆ではありますが、かなり感覚的な言葉が並んでおり、ある意味一つの解釈に収まられない面白さがある文章です。
それは、たとえば小林秀雄の文章にも当てはまることなのですが、それを、「評論」というくくりの中で、あたかも一つの解釈が成り立つかのような授業をするのが、どうにもいやだったのです。
ましてや、それをテストに出して、◯✗をつけるなんて…なんだかんだセンター試験や大学の個別入試に出てしまっているのですが…教師としての、ではなく、人間としての良心が許さない?!
まあ、簡単に言えば、随筆は随筆としてそのまま味わいたい、そこからそれぞれ思索を広げればよいと思うわけで、そうだとすると、あえて授業でやる必要はないわけですね。ただそういう理由です(相変わらずの変人でスミマセン)。
なんか最近、「学校をぶっ壊す」とかイキってる自分を客観的に見ると、つくづく(今の教育制度の)先生には向いてなかったのだなあと思うわけです。生徒は可哀想だよなあ。
さて、それでも全然反省しないワタクシではありますが、ちょっとセンセーぶって山崎正和さんの作品をおススメするとすれば、これでしょう。「世阿弥」。劇作家、そして評論家、いや随筆家山崎正和の原点は「花伝書」にあり。
Amazon 世阿弥
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