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2020.08.29

G.V.ヴィターリ 『バラバーノ』

Giovanni Battista Vitali Barabano

 

 二次世界大戦に関する新発見史料を読んでおります。

 仲小路彰は「平和のためには戦争を研究しなければならない」とし、戦前には「戦争文化研究所」を創設し、また戦後にも客観的、科学的、総括的、未来的な視点で第二次世界大戦を研究しました。

 そのほんの一部を読んでいるわけですが、なるほど私たちが「学校」で教わってきた、戦争の「一面」だけでは、平和の招来は難しいですね。

 そして、戦争と平和を対義語としている限り、平和と平和が衝突して戦争が起きるという本質をつかめない。

 というわけで(?)、今日はヴィターリのバラバーノという曲を紹介します。

 ヴィターリというと、あの妙ちくりんなシャコンヌが有名ですよね。これは、今日紹介するG.B.ヴィターリの息子、T.A.ヴィターリの作品とされていますが、後世の偽作です。その辺の事情に関しては、こちらが分かりやすいのでどうぞ。

 で、お父さんのヴィターリは、21歳年下のコレッリに多大な影響を与えた作曲家です。その後のヨーロッパ全土におけるコレッリの影響を考えると、バロック音楽の基礎を築いた人とも言えますね。

 さて、そんなお父さんヴィターリは器楽の小品をたくさん書いているのですが、その中でも個性的で魅力的なのが、この「バラバーノ」です。

 「Barabano」とは、エミリア地方のフォーク・ダンスの名前だそうですが、曲調や言葉の響きからすると、バルバロイやバーバリアンに通じる、つまり、「未開」や「野蛮」を表す言葉だったかもしれません。

 当時のヨーロッパは、常にオスマン帝国(トルコ)の脅威にさらされており、彼らの文化や音楽を「野蛮」なものとして感じつつ、どこか屈折した憧憬も伴って受け入れていたようです(トルコ行進曲もその例ですね)。

 まあ、ヨーロッパは何百年も常に戦争状態だったとも言えるわけで、そういう中から、まさに「戦争文化」が育っていったわけですよね。そして、それに付随する形で、音楽や美術や文学や科学も発達したと。

 そんなことを考えながら、ぜひこの「荒魂」音楽をお聴きください。

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