千々石ミゲルは転んだのか…
天正遣欧少年使節の話が続きます。
「その後」も含めてよくまとまった動画がありましたので紹介します。
動画にもありますとおり、近年千々石ミゲルが棄教していなかったのではないかという説が浮上しました。
発掘された墓自体はミゲルの妻のものだったようですが、その隣にもう一人が埋葬されていて、それがミゲルであるようですね。
妻の墓からにせよ、ロザリオのようなキリスト教の神具が出てきたというのは、ミゲルが実は棄教していなかった可能性を物語るものであって、非常に興味深いことです。
ミゲルはたしかに「イエズス会がキリスト教布教を侵略の手段としていた」ことや、欧州の奴隷制に疑問を抱いていたことはたしかでしょう。しかし、一方で聖書の読み込み、また音楽などの文化を通じて、キリスト教自体に対する信頼は持ち続けていたと。
単純に「棄教」「転ぶ」という概念では捉えきれない、複雑な人間の心理、信仰というものの本質を、そこに見るべきなのかもしれません。
つまり、表面的(政治的)には、たしかにイエズス会への不信はあったが、イエスに対する信仰は持ち続けた可能性があるということです。
隠れキリシタン(潜伏キリシタン)への理解には、当然そのような視点が必要です。隠れて密かに信仰していた、というだけでなく、実際生活上は全くキリスト教の作法に則っていなくとも、信仰は可能だということです。
考えてみると、私もいわゆるキリスト教の歴史には大いに疑問や違和感を抱いていますが、しかし、もしかすると、社会的にキリスト者に分類されている人たちよりも、ある部分ではイエスに対して理解が深いかもしれません。
そんな観点から、千々石ミゲルを見直してみたいなと思っています。
話が前後しますが、聚楽第での秀吉に対する謁見演奏。秀吉が感動して3回繰り返させたという幻の演奏。それを復元した「400年前の西洋音楽と古楽器」の一部がYouTubeにありましたので、ぜひお聴きいただきたいと思います。
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