『レンマ学』 中沢新一 (講談社)
若い頃、仲小路彰に影響を受けている中沢新一さん。細野晴臣さんらと山中湖に仲小路を訪ねていったこともありました(入院中で会えなかった)。
そんな中沢さんの「レンマ学」と、ワタクシの「モノ・コト論」を並べるのもどうかと思いますが、不思議なモノでして、結果として仲小路彰の周囲をグルっと回って、コツンと出会ったという感じがします。
もちろん、仲小路だけではありません。仏教や出口王仁三郎、そして富士山や山梨といった、ちょっと「なまよみ」なフィールドに迷い込んだ私が出会うべき先達が中沢さんだったのかもしれません。
詳細はこの本を読んでいただくしかない。それこそ「全体」を一瞬で捉えて表現するような「レンマ的知性」も、展開して分析して並べる「ロゴス的知性」も持ち合わせていない私には、そう言うしかありません。
ただ、時代がたしかに縁起をベースとする「レンマ的知性」を必要としているのは間違いありませんね。
ワタクシ流に言えば、「コト」の時代は終わって「モノ」の時代が到来しようとしてる、いやそういう時代に回帰しようとしている、ということでしょう。
そう、古来日本語では、「ロゴス」のことを「コト」と言い、「レンマ」のことを「モノ」と言ったのです。「ことのは」の「コト」と「もののけ」の「モノ」。
分析できない、意識化できない、言語化できないが、たしかにそこに「ある」「いる」感覚、徹底した他者性が「モノ」の本質です。自我が無になり、その無と有が一体化して「空」となる。そんなふうに、私はとらえています(間違っているかもしれませんが)。
昨年でしたか、仲小路彰のことを中沢さんにお伝えしました。ご興味を持っていただいた、というか懐かしく思い出してくださったようですが、その後展開はありません。
ただ、このコロナ禍の中で、ますます「レンマ学」が重要になってくるであろうことは間違いなく、その先達ともいえる仲小路彰の、独特な「グローバリズム」「未来学」も注目をされる時がようやく来たように感じます。
また、ここ数日書いてきた音楽や言語における「モノ・コト論」も、この「レンマ学」の中でよりサイエンティフィックに語られています。
けっこう読み応えのある大著ですが、それこそ脳みその「レンマ」的領域が刺激される快感が得られますので、ぜひご一読を。やはり「コトを窮めてモノに至る」なのだなあ。
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