キース・ジャレット・トリオ 『オール・ザ・シングス・ユー・アー』
Keith Jarrett Trio - All The Things You Are
バッハのコラール前奏曲と同じだな、と気づいたので紹介しておきます。
私も大好きというか崇拝し、何度も生で聴いたというか参拝したキース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・デジョネットのトリオ「Standards」。
彼らの試みは、たしかにバッハのコラール前奏曲に近いかもしれない。誰もが知っているスタンダードのメロディーを素材にして、全く新しい世界を構築したわけですから。
昨日の記事でいうモノとコトの関係で言うなら、この曲なんかいい例ですよね。私も大阪城ホールで生で聴いた記憶がありますが、このイントロのピアノ・ソロ(インプロヴィゼーション)の部分は、最初は全く何が始まっているのか分からない。調性も拍子も分からない。雲や霧の合間から光が差し、風景が次第に見え始めるように、あのスタンダードのコードやメロディーが浮かび上がってくる。
この快感は、それこそ宗教的な「何か」に近い気がします。イントロのインプロヴィゼーションからテーマに入った瞬間の、あの快感ですよ。
トランスクリプションがありましたので、参考にどうぞ。まあ楽譜にするとつまらなくなるという一面もあるのですが。
そして、このトリオはその後、またテーマからだんだんと遠ざかっていく。すなわち複雑な変奏とアンサンブルによって、私たちは再びモノ世界にいざなうのですね。
そしてそして、ドラム・ソロまで行って、最後にまたテーマが戻ってくるあの瞬間の恍惚。すごいなあ…音楽って。
音楽のこういう「回帰性」や「モノとコトの関係性」の中に、宗教や人生や幸福のヒントがあるような気がするのですが。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- マカロニえんぴつ 『星が泳ぐ』(2022.05.17)
- THE BOOM 『島唄』(2022.05.16)
- 笑点神回…木久蔵さん司会回(2022.05.15)
- 『フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集』 ユアン・シェン(クラヴィコード)(2022.05.02)
- NHKスペシャル 『東京ブラックホールⅢ 1989-90魅惑と罪のバブルの宮殿』(2022.05.01)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- マカロニえんぴつ 『星が泳ぐ』(2022.05.17)
- THE BOOM 『島唄』(2022.05.16)
- 出口王仁三郎 「天災と人震」(『惟神の道』より)(2022.05.14)
- ジャンボ鶴田さん23回忌(2022.05.13)
- 『教祖・出口王仁三郎』 城山三郎(その10・完)(2022.05.12)
「モノ・コト論」カテゴリの記事
- 『都道府県別 にっぽんオニ図鑑』 山崎敬子(ぶん)・スズキテツコ(え) (じゃこめてい出版)(2022.04.24)
- 「むすび大学」に出演いたしました。(2022.04.11)
- 映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』 岩間玄監督作品(2022.02.15)
- HARUOMI HOSONO『SAYONARA AMERICA』佐渡岳利監督作品(2022.01.30)
- 『あなたを陰謀論者にする言葉』 雨宮純 (フォレスト2545新書)(2022.01.29)
コメント