キース・ジャレット・トリオ 『オール・ザ・シングス・ユー・アー』
Keith Jarrett Trio - All The Things You Are
バッハのコラール前奏曲と同じだな、と気づいたので紹介しておきます。
私も大好きというか崇拝し、何度も生で聴いたというか参拝したキース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・デジョネットのトリオ「Standards」。
彼らの試みは、たしかにバッハのコラール前奏曲に近いかもしれない。誰もが知っているスタンダードのメロディーを素材にして、全く新しい世界を構築したわけですから。
昨日の記事でいうモノとコトの関係で言うなら、この曲なんかいい例ですよね。私も大阪城ホールで生で聴いた記憶がありますが、このイントロのピアノ・ソロ(インプロヴィゼーション)の部分は、最初は全く何が始まっているのか分からない。調性も拍子も分からない。雲や霧の合間から光が差し、風景が次第に見え始めるように、あのスタンダードのコードやメロディーが浮かび上がってくる。
この快感は、それこそ宗教的な「何か」に近い気がします。イントロのインプロヴィゼーションからテーマに入った瞬間の、あの快感ですよ。
トランスクリプションがありましたので、参考にどうぞ。まあ楽譜にするとつまらなくなるという一面もあるのですが。
そして、このトリオはその後、またテーマからだんだんと遠ざかっていく。すなわち複雑な変奏とアンサンブルによって、私たちは再びモノ世界にいざなうのですね。
そしてそして、ドラム・ソロまで行って、最後にまたテーマが戻ってくるあの瞬間の恍惚。すごいなあ…音楽って。
音楽のこういう「回帰性」や「モノとコトの関係性」の中に、宗教や人生や幸福のヒントがあるような気がするのですが。
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