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2020.07.11

『サバイバルファミリー』 矢口史靖監督作品

 

 「ラサイト 半地下の家族」が、次女の言うとおりイマイチな作品だったので、違う「家族もの」を観てみました。

 矢口作品は、「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」で、けっこう私の心をつかんでいました。先日紹介した「Shall we ダンス?」の周防正行監督と同様、というか時代性でしょうかね、ちょっとマイナーな分野に素材を求めつつ、そこに人間模様や成長を描くというパターンでした。

 この「サバイバルファミリー」は、ちょっとコンセプトの違う映画ですが、しかし矢口監督らしいユーモアやペーソスが満載で楽しめました。

 基本的に、この映画にリアリズムを求めてはいけませんね。なんで蓄電池も使えなくなるのか、とか。野暮です。

 しかし、面白いことに、コロナ禍に襲われた今この作品を観ると、そこに異様なほどのリアリズムを感じざるを得ないのです。

 全く想定外のことが起きた時に、人はどう行動するのか。パニックになった時にこそ、個人も、家族も、社会も、その本質が現れ、その本質に気づかされる。

 この映画で、水や食糧が急に高値になるあたり、このたびのマスクの高騰にもつながりますし、都会の脆弱さへの気づき、田舎への回帰という現象も、今まさに起きています。

 電気が使えないということは、なかなか想像できませんよね、日本人には。しかし、考えてみると、世界中にまだ電気の通っていない所はたくさんあります。そこでの自分を想像すれば、このおとぎ話は決して夢物語ではないということが分かるでしょう。

 そう考えていくと、蓄電池が使えないというのは、長期的に見れば当然起こりうることであって、それを象徴的に描いていると思えば、別に矛盾や無理はありません。

 ちなみにウチでは、すでにここ数年、冷蔵庫が壊れ、ボイラーが壊れ、ガスコンロが壊れ、テレビが壊れ、トイレも不調だったりして、けっこうサバイバルファミリーしています(笑)。

 それでも、特に不便も不満もないウチのファミリーは、かなり想定外の災害に強い方だと思います。まさに生き残るしぶとさを持っているのではないかと自負しています。

 心配してくれる方々もいますが、そう、この映画の時任三郎ファミリーのように、この状況を楽しめればいいんじゃないでしょうかね。

 なんとかなるモノです。想定外の「モノ」には、過去の知識(コト)で対処するのではなく、未来可能性的な「モノ」で処するのが良いのではないでしょうか。

 そうすると、小日向文世さん演ずるダメダメ(と言われる)お父さんこそ、サバイバル能力に長けていたのかもしれません。無責任な「俺についてこい」的勢いが最強だったりして(笑)。

 ところで、エンディングテーマのフォスターの名曲「Hard Times Come Again No More」がいいですね。ミッキー吉野さんの編曲がお見事。歌はゴダイゴのドラマー、トミー・スナイダーさんの娘さん、SHANTIさんです。



 

 

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