備忘…「ことたま」と時間(2)
(昨日からの続き)
そこで、今日ふと気づいたのは、「こと」によって、時間の流れが変わるということです。
ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、私たちは無意識の状態だと「時間は過去から未来に向かって流れている」と感じている、というか、時間の流れを意識していないが、結果として時計を見て、そういうふうに思ってしまう。もう7時か…とか。
しかし、あることを意識すると、時間の流れは逆転します。未来から過去に向かって流れるようになるのです。明確に言語化しなくとも、未来をイメージすると、そのイメージが未来から現在に近づいてくることになる。
まあ、結果として、「イメージは現実化する」ということになって、従来の「言霊」解釈と同じになるようにも思えますが、「こと」の「たま」の機能としては、時間の流れを逆転させるというのが、とても重要なのです。
言ったこと、思ったことが全て実現するわけではないのは、それはその未来への意識のことを忘れたり、諦めたりするからです。そうすると、時間は逆流して、イメージは遠ざかってしまう。
最近、私は「未来の記憶」という言葉をよく使いますが、その「未来の記憶」を思い出そうすることが「しごと」です。一般的な仕事も、たしかに未来に何かの価値を生産するための行為です。ちなみに「未来の記憶」を忘れてしまうのが「もの忘れ」なんですね。つまり、近未来の何かしようとして、それが何だったか忘れてしまうこと。
「何しようとしたんだっけ?」というのは、「過去の記憶」を忘れたようにも見えますが、実際は、近過去から今にかけて「未来の記憶」を思い出そうとしたのに、それが思い出せない状態のことなのです。
エントロピーでいうと、「もの」の場合それは増大し、「こと」のそれは減少します。「もの」時間の経過が「もののあはれ」であり、「物理」的な時間の経過です。「こと」時間の経過は、未来の「もの」が「こと」となっていき(それを「ものがたり」とも言う)、私たちに新たな「いま」を招来します。
「こと切れる」と私たちは「もの」に帰りますので、結果としてどんどん拡散していきます。それでも、たとえば作品という「こと」を残せば、それはいつまでも生き続け、新たな生命を生むきっかけとなります。
つまり、生命とは「ことたま」を持っていて、「ものの道理」に逆らって新たな並行宇宙を生み出す存在なのです。
そう考えると、今まで私が構築した「モノ・コト論」の仕組みが崩れてしまう部分もあるのですが、まあ、そんなモノですよ、過去のコトなんていうのは。
また、何かダウンロードできたらメモします。
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