バッハ カンタータ第54番 『罪に手むかうべし』
渋い音楽ネタが続いております(はっきり言って忙しいので、他人まかせなのです)。
今日はバッハのカンタータ。この時代からするとけっこう衝撃的な音楽です。
冒頭の和音を聴いてください。決して演奏上のミスではありません。
「罪」というキーワード。キリスト者にとっては実に重い課題です。
その「罪」が信仰によって昇華されていく様子を描くかのように、曲は進行していきます。
そして、その過程がこの上なく美しいというのが、キリスト教の教えの本質であり、またこの世の真相である、すなわち不協和があって協和があり、汚れがあって清らかさがあるということです。
この演奏について、指揮・チェンバロのモルテンセンが解説してくれています。興味深い話です。
最近、物理学者の方とも話しましたが、無限の倍音や残響、さらに記憶や予測まで含めると、私たちが美しいと感じる楽音には、とてつもない不協和音が内包されているのです。
さて、そんなことを考えながら、この曲を楽譜つきでじっくり聴いてみましょう。レオンハルトによるまさにじっくり聴かせる演奏です。
最後に米良美一さんの歌唱を聴いてみましょう。若い時の録音です。彼とは、彼が学生時代に一緒にカラオケに行って松田聖子を熱唱したことがありますが、すごい才能を持っているとともに、かなり危ういモノを感じました。
その後「もののけ姫の人」となってからの迷走ぶりを考えると、この曲のこの歌唱の深みが増すというものです。最近はまた自然体で活躍しているようで安心しています。
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