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2020.05.13

C.P.E. バッハ:ロンド&幻想曲集(ショルンスハイム)

 日の続きですが、ある意味驚きの「連続」です。

 まず、復習かねて、今日紹介する演奏家クリスティーネ・ショルンスハイムさんの演奏で、昨日の父バッハの前奏曲を聴いてみましょう。

 これについては、かつて紹介したことがありますが、リンクも切れていたりするので、あらためて。

 前の記事にも書いたとおり、「女の覚悟」を感じる(笑)かなり思い切った演奏です。リュッカースの歴史的チェンバロがまた素晴らしい。

 

 

 どうでしたか。昨日のアスペレン翁とは違ったアプローチですね。やはりドイツ風と言ってもいいかも。バッハの演奏はこちらに近かったのかもしれません。

 さて、今日の「驚きの連続」ですが、この平均律が作曲されてから50年後、バッハの息子カール・フィリップ・エマヌエル・バッハが作曲した「ロンドと幻想曲」を聴いていただきたいのです。

 まず、これが親子かという視点(聴点)。いくら半世紀経っているとはいえ、ここまで音楽は変わりますかね。今の時代でもこれほどの変化はありません(というか、今だからこそ変わらないのかも)。

 たしかにエマヌエルは父バッハを継ぐというより、父の友人であったテレマンの後を継いだ感じですよね。父バッハ自身も、売れない自分と売れっ子の友人とを比較し、息子には売れっ子になってほしいと考えたのでしょう。なにしろ、この次男の「フィリップ」はテレマンの名前から採ったと言われていますからね。

 あとは、楽器のことです。ここで、ショルンスハイム女史が弾いているのは「タンジェント・ピアノ(タンゲンテンフリューゲル)」です。歴史的なタンジェント・ピアノは世界に20台くらいしか残っていません。ハンマーで弦を叩くピアノの先祖というより、チェンバロをクラヴィコードのように下から木片でつついてみた感じの楽器です。

 チェンバロのような音がしますが、強弱がつけられること、すなわち「ピアノ」の音が出ることが特徴です。そう、当時はチェンバロの音は大きすぎたのです。なんとかクラヴィコードのような音を出そうとして考えついたのがこのタンジェント・ピアノでしょう。

 友人でもある小倉貴久子さんが、この楽器について語っています。なるほど父バッハにも合うわけですね。

「目からウロコ」の響きを求める小倉貴久子さん

 というわけで、古楽器の研究家としても知られるショルンスハイムさんの演奏で、いろいろな意味での「驚きの連続」をお聴きください。

 

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