『トゥルーマン・ショー』 ピーター・ウェアー監督 ジム・キャリー主演作品
「テラスハウス」というリアリティー・ショーの犠牲者となった、プロレスラー木村花さん。
虚実皮膜という意味では、似たレイアーにあるはずのプロレスとリアリティー・ショー、いったい両者にはどんな違いがあったのか、日々考えさせられています。
そんな思考の中で、ふと思い出したのがこの映画。あらためて観てみました。
自分の人生が実は壮大なショーだった…。
なるほど、この映画の中に重大なヒントがいくつも表現されていました。初見の時はそれほど恐ろしく感じなかったのに、今日はとにかく怖かった。
もちろん初見の時も、「もしかすると私が現実だと思っているこの世界は、すべてショーなのかもしれない」という感覚に陥りました。
しかし今回はそれに加えて、自分がショーの傍観者であるような気も強くした。さらには、ショーを制作するスタッフのような感覚も…。
いずれにせよ、全てが「作り物」であって、フィクションこそがリアルであるとしたらという恐怖。
たしかに、私たちの認識する世界は、私たちの脳みそでストーリー化されています。そういう意味では全て虚実皮膜の間ということになるわけですが、その主体が自分自身ならまだ安心できるものの、それが他者だったらどうなのか。
そうした感覚が「神」を生み、宗教を生んだのは間違いありません。また、私たちが日常で陥りがちな陰謀論、もっと卑近に言えば「アベガー」みたいなものも、自分が「ショー」に巻き込まれているという感覚から生じているのかもしれません。
最後、大航海時代のような勇気をもって「国」を出た主人公が、嵐を乗り越えたどり着いた先が「壁」であったというのは、ある意味リアルです。
それは最近の「フラットアース」、いや太古からの私たちのもう一つのリアル、地球平面説につながるような気もしますし、その壁の扉を開いた向こう側が、もしかすると再びショーの世界であるという、入れ子構造の並行宇宙(パラレルワールド)を象徴しているようにも感じました。
視点の入れ子構造ということでいえば、「カメラを止めるな」もそれでしたよね。全く違う表現と内容でしたが。
いずれにせよ、私たちはストーリーの傍観者という、ある意味無責任な「神」のような存在になりたがっているのかもしれません。それは恐ろしいこともあります。
その無責任な「神」としての自己が、たとえば映画やテレビ番組、プロレスのような枠の中に収まっていて、それが終わったらこちらの世界に帰ってこれれば問題ないし、それこそがエンターテインメントだと思いますが、それこそ虚実皮膜ではなく虚実が混同してしまうと、今回のような悲劇が生まれてしまうのではないでしょうか。
最後に、家族とも話したんですけど、私の人生って、あまりに偶然や奇跡が多すぎて、ある意味陳腐な脚本みたいになってるんですよ(笑)。私の話を聞いたことがある人なら納得だと思います。ちょっとおかしいくらいですよね。
これって、やっぱり…だれかの三流芝居なのかな(笑)。
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