『カメラを止めるな!リモート大作戦!』 上田慎一郎監督作品
コロナ禍で外出自粛の中、様々な場面でリモートという新しい文化が活用されています。
リモートで十分なコト、リモートでやはり足りないモノ、こういう非日常のある意味おかげで、様々なモノゴトが仕分けされていきます。
あるいは、リモートのそうした十分性と不十分性が新たな文化を生む事態にもなっています。
その良い例が、まさに「不十分」や「不自由」を逆手に取る、上田慎一郎監督のこの短編作品。
顔を突き合わせての集団作業であったはずの「映画」を、あえてスタッフ、キャスト、一度も合わずに短期間で作り上げてしまうというパラドックス。お見事です!
もともと「カメラを止めるな」に猛烈に感動し共感したワタクシです。今回もすっかりしっかり感動し共感し涙してしまいました。
う〜ん、こういう「ピンチをチャンスに力」って大切だよなあ。我が教育業界でもそういう発想をしたい。
そう、まさに「現場」が失ってしまった多くの人々に、過去を再評価させ、今の新しい意味を考えさせ、そして未来への希望を抱かせるという、とっても芸術的なことを、ある種俗っぽい、生活感あふれるやり方で実現してしまった上田監督は、やっぱりすごい。
映画的なパラドックスといえば、そう、映画の視点って、特別な場合を除いては普通一つです。すなわち画面を分割して二つ以上の場面を見せるということはしませんよね。
しかし、この作品では、なにしろリモート、オンラインですから、無数に画面すなわち視点が分割されている。だから私たち観客の視点も分割される。そういう映画作品って、今までなかったと思うのです。画面分割(視点分割)って、芸術の禁じ手の一つですから。
それが、このコロナ禍のおかげで、誰しもの共通体験になって、結果すんなりと受け入れられてしまった。すんなりと映画革命が起きてしまったわけです。
なんか、すごく元気をもらいました。なるほど、リモートだからこそできること、リモートでなくてはできないことがあるのか。学校もそれを模索しなきゃ。
そして、やはり最後は「また、現場で!」になればいいじゃないですか。「現場」を離れてみて、あらためて「現場」の良さがわかる。こんな素晴らしいことはありません。本当に力をいただきました。ありがとう、カメ止めの皆さん!
| 固定リンク
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- バッハ『フーガの技法』を見る(2023.12.04)
- 資源大国日本?(2023.11.27)
- 【読解力】社会人1万人以上見て分かった”文章読めない”人の特徴 (サトマイ)(2023.11.13)
- MacBook Pro(M1 2020)(2023.10.31)
- 『黒本 五』 高城剛(2023.09.30)
「ニュース」カテゴリの記事
- 富士山ラドン濃度急上昇と新島・神津島近海地震(2023.11.16)
- 追悼 大橋純子さん(2023.11.11)
- The Beatles 『Now and Then』(2023.11.02)
- 谷村新司 『群青』(2023.10.26)
- 二度目の天の岩戸開き(2023.10.18)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『首』 北野武 脚本・監督・編集作品(2023.12.05)
- 『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』 竹林亮 監督作品(2023.12.02)
- 『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて』 魔夜峰央原作・武内英樹監督作品(2023.11.29)
- NHK「音楽の広場」タモリとスポーツテーマ曲(2023.11.25)
- ナイツ 『野球寿限無』(2023.11.15)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- グレン・グールドの『バッハ フーガの技法』(2023.12.06)
- 『首』 北野武 脚本・監督・編集作品(2023.12.05)
- バッハ『フーガの技法』を見る(2023.12.04)
- 濱田あや 『デュフリのガヴォットとシャコンヌ』(2023.11.30)
- 不動明王の愛の荒魂(2023.11.28)
コメント