『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』 小佐野景浩 (ワニブックス)
バイブル。この一言でしょう。私にとってのこの本の価値を表すのは。
人生のテーマだったんですよ。「ジャンボ鶴田は最強か」というのが。
いや、ただ単にプロレスラーとして強かったかということだけではないんです。
自分でもよくわからなかったのです。なぜ、少年の頃から今まで、ジャンボ鶴田が私の中で大きな存在なのか。
その答えがこの本の中にありました。だからバイブル。本当に素晴らしい本です。
プロレスとは何か、プロレスにおける強さとは何か。そんなことをずっと考えてきたわけですが、なるほど、それだけでなく、やはり人間の総体としての魅力、ある意味での「新しさ」というものが、私の魂を捉え続けてきたのですね。
この歳になって、ジャンボが亡くなった年齢をとうに越えた今、ようやく分かりましたし、納得しましたし、安心もしました。やっぱり「ジャンボ鶴田は最強だ!」。
人生の設計のしかたが、私の唱える「時間は未来から…」「未来に原因を作る」に見事に一致していました。いや、もしかすると、ジャンボの生き方、戦い方、チャレンジの仕方を見て、そういう逆説的な哲学を生み出したのかもしれません。
そう、彼の未来的な生き方が、ある意味非常に保守的であるプロレス界だったからこそ、異様に映っていたのでしょう。それが、ファンの不満を催し、アンチさえも生んでしまったのかもしれません。
そして、そうした旧来の生き方、人生設計の仕方、あるいは人生設計などしない生き方が「かっこいい」とされた時代の中で、周囲に合わせていながらも、しかし流されないという「最強」の処世術、仕事術を実現したのですから、たしかにそれは「チャレンジ」に違いありません。
また、そうした特殊な「マイペース」が、どういうわけかライバルや後輩たちを輝かせる結果を生んだ。これって、最強の利他ですよ。自我が強いかのようで実はスーパー利他。
本気を出すことを格好よしとしないというのも、たしかに「最強」の一つの方法です。私もどちらかというとそういう生き方、表現の仕方をしていますよね。余裕を見せるというか。
たまたま山梨に住むことになった私ですが、ここでジャンボ鶴田、武藤敬司という、明らかに「最強」な、しかし全く色合いの違う「男」に出会えたのは幸運でした。
小佐野さん、本当に素晴らしいお仕事をされたと思います。600ページ近いこの厚さ、まさにバイブル。感服、感謝。
そして、前書きで初めて知ったのですが、小佐野さんのルーツも山梨、それも南都留郡(ということは旧◯◯村ですかね)だったということに、個人的には感激しました。
本当にありがとうございました。これで安心して、死ぬまでジャンボ鶴田ファンでいつづけます。そして堂々と「ジャンボ鶴田が最強だ!」と唱え続けます。
追伸 読みながら気になった試合はYouTubeで観戦。いい時代になったものです。おかげで読了に3日かかってしまいました。
Amazon 永遠の最強王者 ジャンボ鶴田
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