追悼 別役実さん
今月3日、別役実さんが亡くなりました。昨日ニュースで知りました。
演劇界にいたウチの姉にとっては大きな存在だったのでしょう、私がまだ少年の頃、「ベツヤクミノル」という不思議な名前を何度も耳にした覚えがあります。
物心ついた頃からの記憶としては、映画「銀河鉄道の夜」の脚本家としての別役実がまず一番。宮沢賢治を愛する別役さんの名脚本です。
続いては仕事上の記憶として、2006年のセンター試験国語の評論で出た「言葉への戦術」。これがとても面白かったので、当時古本で買って読んだ覚えがあります(どこ行っちゃったのかな)。
このセンターの問題、今ではある意味伝説の問題になっています。著作権問題にも積極的に取り組んだ別役さんが、いろいろ納得いかないところがあって、過去問としての掲載を許可しなかったんですよね。今では見ることができない幻の問題。いい文章、問題だったのですが。
別役さんのエッセイや評論は、まず文章がとんでもなくうまくて(当たり前か)、読んでいて心地よいというか、独特のリズムがあるおかげで集中力を切らさず読み込むことができる。
これは、まさに「戦術」なのかと思いきや、どうもそうではなく、別役さんの生来の音楽的センスなのだと思います。
音楽と言えば、この名曲は、まさに言葉と音楽との幸福な結婚の例でしょう。小室等「雨が空から降れば」。
それから、別役さんの脚本と言えば、二・二六事件を描いた吉田喜重監督の「戒厳令」。北一輝に興味を持っていた別役さんらしいものになっています。実に文学的、演劇的、哲学的。
あらためて別役実さんの文章を読んでみたいと思います。ご冥福をお祈りします。
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