『タモリと戦後ニッポン』 近藤正高 (講談社現代新書)
昨日書いたオーディオブックで「聴いた」本。
最近、特に感じること。世の70代が元気だということ。
戦中や戦後すぐに生まれた、実質的には「戦争を知らいない」世代、違う言い方をするなら、戦後ニッポンをゼロから作り上げてきた世代。
その代表格がタモリさんでしょう。この本で示されているように、たしかにタモリとは「日本の戦後」そのものだった!と言えるかもしれません。
というのは、この本を読んで、タモリさんが他者の意見を素直に取り入れたり、社会の風潮に上手に流されたり、案外自我が強くない人だとわかったんですね。
なるほど、だから一見ブレているように見えるけれど、実は自我にこだわらないという点においては、全くブレていないのです。その結果、見事に時代を映す鏡になったと。
この本の特徴の一つとして、いろいろな一次資料から引用していることが挙げられるわけですが、それもまた、その時代時代の空気を反映していて面白かった。
リアルタイムのインタビューもあれば、回想録もあって、それらが「歴史」を作ることになっている。サブカルチャー側から見たニッポンの戦後史が露わになっていて、一庶民として同時代を生きてきた者として、腑に落ちるところが多かった。
メディアが発達した現代になって初めて、こうして庶民の感覚や視線というものが歴史として記録され語られるようになるのですね。
それにしても、昭和を力強く生きた諸先輩方の才能とパワーは本当にすごい。70代になった皆さん、今でもとってもパワフルです。高齢者とか老人とか言うのはおこがましい。まだまだ世の中をリードしていってほしい。本気でそう思います。
そして、60代、50代、40代…若造たちは負けないように頑張らねば。いくら合理性が重視される世の中になっても、いやそうだからこそ、理不尽やナンセンスに命をかける「根性」みたいなモノが必要なような気がします。
個人的には「全日本冷やし中華愛好会(全冷中)」みたいなノリが好きだなあ。まじめなユーモアというか(笑)。おバカな文化人というか(笑)。
たくさんの「子供みたいな大人」が登場しますが、やっぱり赤塚不二夫さんの存在は大きいなあ。
Amazon タモリと戦後ニッポン
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『ジョーカー』 トッド・フィリップス監督作品(2021.01.11)
- 『パラサイト 半地下の家族』 ポン・ジュノ監督作品(2021.01.09)
- 『ゴジラ』 本多猪四郎監督作品(2021.01.04)
- LUCY(루시) 『Snooze (선잠)』(2020.12.30)
- 『セカンドID―「本当の自分」に出会う、これからの時代の生き方』 小橋賢児 (きずな出版)(2020.12.23)
「音楽」カテゴリの記事
- 絹糸ヴァイオリン(ヴィオラ)(2021.01.10)
- 『パラサイト 半地下の家族』 ポン・ジュノ監督作品(2021.01.09)
- ジョン・ルイス 『バッハ 前奏曲BWV 852』(2021.01.08)
- マイルス・デイヴィス 『パンゲア』(2021.01.07)
- 『ゴジラ』 本多猪四郎監督作品(2021.01.04)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- LUCY(루시) 『Snooze (선잠)』(2020.12.30)
- 追悼 中村泰士さん なかにし礼さん(2020.12.24)
- 『セカンドID―「本当の自分」に出会う、これからの時代の生き方』 小橋賢児 (きずな出版)(2020.12.23)
- 宮川彬良 『イントロの作り方』 (NHK どれみふぁワンダーランド)(2020.12.20)
- 音楽事業仕分け(コント)(2020.12.19)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『聖断 天皇と鈴木貫太郎』 半藤一利 (文春文庫)(2021.01.15)
- 善悪不二・正邪一如 (出口王仁三郎)(2021.01.12)
- 神俗もまた不二一如 (出口王仁三郎)(2021.01.13)
- 『平和と命こそ〜憲法九条は世界の宝だ』 日野原重明・宝田明・澤地久枝 (新日本出版社)(2021.01.05)
- 『異界探訪 パワースポットの最深部に異界への扉があった』 町田宗鳳 (山と渓谷社)(2020.12.22)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 『芸術は宗教の母なり~耀盌に見る王仁三郎の世界~』 (出口飛鳥)(2021.01.14)
- 『ジョーカー』 トッド・フィリップス監督作品(2021.01.11)
- 絹糸ヴァイオリン(ヴィオラ)(2021.01.10)
- 『パラサイト 半地下の家族』 ポン・ジュノ監督作品(2021.01.09)
- ジョン・ルイス 『バッハ 前奏曲BWV 852』(2021.01.08)
「自然・科学」カテゴリの記事
- 『芸術は宗教の母なり~耀盌に見る王仁三郎の世界~』 (出口飛鳥)(2021.01.14)
- 日本列島は今後どうなるのか?(2021.01.06)
- 『ゴジラ』 本多猪四郎監督作品(2021.01.04)
- 『生き方は星空が教えてくれる』 木内鶴彦 (サンマーク文庫)(2020.12.27)
- 通信改革は本当に成功するのか?(2020.12.25)
「文学・言語」カテゴリの記事
- 『聖断 天皇と鈴木貫太郎』 半藤一利 (文春文庫)(2021.01.15)
- 追悼 中村泰士さん なかにし礼さん(2020.12.24)
- 『異界探訪 パワースポットの最深部に異界への扉があった』 町田宗鳳 (山と渓谷社)(2020.12.22)
- 霊方山 薬王院 温泉寺 (加賀市山代温泉)(2020.12.09)
- (いろいろな)パンデミック(2020.12.02)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 『聖断 天皇と鈴木貫太郎』 半藤一利 (文春文庫)(2021.01.15)
- 『芸術は宗教の母なり~耀盌に見る王仁三郎の世界~』 (出口飛鳥)(2021.01.14)
- 善悪不二・正邪一如 (出口王仁三郎)(2021.01.12)
- 神俗もまた不二一如 (出口王仁三郎)(2021.01.13)
- 絹糸ヴァイオリン(ヴィオラ)(2021.01.10)
コメント