ウルトラQ・ザ・ムービー 『星の伝説』 佐々木守脚本・実相寺昭雄監督作品
能や狂言につながる、現代の「モノガタリ」。怪獣もの。
怪獣ものや宇宙人もの、ヒーローものと言うと子ども向けとも捉えられがちですが、日本では特に大人が観ても楽しめる、いや学べるものが多い。これはやはり、日本の「物語」の系譜ですよね。
特にこの映画作品は、正直子どもにはチンプンカンプンでしょうし、怪獣もちょっとしか出てこない、ヒーローも出てこない、かなりマニアックな内容となっています。
事件の発端は「山梨」の古墳。境川のあたりでしょうか。そこからまあ始まる始まるディープな古代史と物語の世界が(笑)。
1990年、平成2年の公開かあ。バブルの陰の光に照射され、たしかに古代史や宗教、縄文などが人気でしたね。私もしっかりはまっていました。
浦島伝説、天女伝説、竹取物語、遮光器土偶、吉野ヶ里遺跡、常世信仰、秦河勝…。
そうした「モノ」をいろいろ詰め込んだ感が強く、内容としてはいろいろツッコミどころがありますが、それは佐々木守さんらしさであるとも言えます。またその混沌を見事に異形の映像美に仕上げた、実相寺昭雄さんという変態的巨匠の力によって、それこそ能の異形の形式美のような独特な世界が現出しています。
今、とてもこんな映画作れませんよね。時代の産物であるとも言えましょう。CGではなく光学的な特撮がほとんどのようで、それはそれで味わい深く、内容にマッチしているように感じますね。
Amazon 星の伝説
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『大鹿村騒動記』 阪本順治 監督作品(2025.05.17)
- 『砂の小舟』 丹波哲郎 監督作品(2025.05.08)
- 追悼 大宮エリーさん(2025.04.28)
- 『新幹線大爆破』 樋口真嗣 監督作品(2025.04.23)
- 『アルプススタンドのはしの方』 城定秀夫 監督作品(2025.04.01)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 光明寺さん(小山市)で思う(2025.05.23)
- 榮山寺のカオスとコスモス(2025.05.22)
- 吉野〜南朝の幻影(2025.05.21)
- 『超国宝』展 (奈良国立博物館)(2025.05.20)
- 私的「大鹿村騒動記」(2025.05.18)
「自然・科学」カテゴリの記事
- 吉野〜南朝の幻影(2025.05.21)
- 私的「大鹿村騒動記」(2025.05.18)
- 『大鹿村騒動記』 阪本順治 監督作品(2025.05.17)
- 佳子さま降臨(2025.05.16)
- 天然温泉 ロテン・ガーデン(町田市)(2025.05.15)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 乙姫さま降臨(2025.05.26)
- 岡崎市円山の神明宮と古墳群(2025.05.24)
- 光明寺さん(小山市)で思う(2025.05.23)
- 榮山寺のカオスとコスモス(2025.05.22)
- 吉野〜南朝の幻影(2025.05.21)
「モノ・コト論」カテゴリの記事
- 地震と大相撲(2025.03.30)
- ハイデガーVS道元…哲学と仏教の交差するところに、はじめて立ち現れてきた「真理」とは?(2024.06.03)
- 文字を持たない選択をした縄文人(2024.02.14)
- スコット・ロスのレッスン(2024.01.12)
- AIは「愛」か(2024.01.11)
コメント