『渡辺錠太郎伝: 二・二六事件で暗殺された「学者将軍」の非戦思想』 岩井秀一郎 (小学館)
二・二六事件の余韻が残る中、この本を読みました。
表紙にあるとおり、渡辺錠太郎はあの「置かれた場所で咲きなさい」で有名な渡辺和子さんのお父さんです。
50過ぎてからの娘ということで、戦前の父親、そして軍人らしい厳しさの中にも、溢れんばかりの愛情で和子さんに接していたという錠太郎閣下。
その愛娘の目の前で、決起部隊の機銃攻撃によって蜂の巣にされ亡くなりました。
その体験も大きかったのでしょう、和子さんはクリスチャンとなり、「赦す」ということと戦い続けました。
この本でも繰り返されています。渡辺錠太郎が生きていたら…。
しかし、運命は、渡辺錠太郎を殺しました。それが未来的運命だったのでしょうか。その運命によって、渡辺錠太郎の魂は現代にまで生きているのだとも言えます。もちろん、和子さんを通じてという部分も大きい。
私にとっての渡辺錠太郎については、かつて「リアルタイム」でこのような記事を書いています。リアルタイムでは書けないこともあったのでしょう。なんとなくぼんやりしています。
この本には出てこないエピソードですが、私たちにとっては、錠太郎閣下のお人柄を知るよいきっかけとなりましたし、なんといっても、大きな荷物をおろす機会となりました。
このあと、私たちは運命的に安藤輝三と出会い、そしてさらに輝三さんのご次男日出雄さんと奇跡的に出会いました。そして、一つの結論が。
歴史、つまり過去も未来も、「今」に存在しているのですね。
岩井秀一郎さんのこの労作、まさに渡辺錠太郎伝の決定版です。「学者将軍」の「非戦思想」が、なぜ葬られねばならなかったのか。それは、やはり「学者将軍」の「非戦思想」だったからでしょう。つまり、辛く苦しいことですが、やはりあの「戦争」は必要だったのかもしれないということです。
では、なぜ必要だったのか。それを、未来人である私たちは、逃げずに考えなければならないのです。ただ、戦争反対、あの戦争は間違っていたではすまされません。
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