『ペコロスの母に会いに行く』 森崎東監督作品
本日鑑賞した映画は、ここ数日の作品とは違い、かなりの正統派。
映像、音楽、演技、演出、編集、ロケーション、全て完璧です。もちろんストーリーも。
たしかにキネ旬1位の価値ありますね。
私は若い頃、ATGにはまっていて、森崎監督の「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」がけっこう好きでした。最近観てないなあ。原発ものとして、今また観てみたい。
その頃からのお付き合いで、この映画にも宇崎竜童さんが出演されていますね。
さて、この「認知症」をテーマにしたこの映画、ウチの父親もかなりアルツハイマーが進行していることもあって、いろいろ感じるところもありました。
「ボケ」は、すなわち「コト」世界から「モノ」世界への回帰なんですよね。まさに「認知=コト」ですので。
そう考えれば、決して悪いことではなく、人間としてようやく「コト」の呪縛から逃れられる、煩悩から解放される、ある種の悟りへのプロセスなのです。
なぜ、子どもの頃の記憶は残るのか。それは「コト」を介していない記憶だからです。大人になるにつれて、記憶や想像力は、様々な常識や解釈といった「コト」に侵食されていきます。
そうした、たとえば学校で習った「コト(認知)」は、ボケによって洗い流されていくわけです。
それは「コト」世界たる私たちの「社会」においては、「困ったものだ」と評価されるでしょうね。本人の意思とは関係なく。
その本人の「モノ」世界を、こうして映画という「モノガタリ」によって、「コト」世界に投入してもらって、そうして私たちは、その本質にちょっと気づくことができます。しかし、また翌日には忘れてしまうんですよね。
私たちは、この映画を定期的に観る必要があるのでしょうね。
あと、ふと思ったんですが、み〜んなボケたらどうなるのかな。動物の世界みたいになるのかな。それは平和なのかな。
Amazon ペコロスの母に会いに行く
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